ひと振りで試合を決める男・エルドレッドの「カープ愛、日本愛」 (2ページ目)

  • 前原淳●文 text by Maehara Jun
  • 西田泰輔●写真 photo by Nishida Taisuke

 エルドレッドはアメリカでの実績はほとんどない。だが、2012年のシーズン途中に日本にやって来て、才能を一気に開花させた。14年には本塁打王のタイトルを獲得。今季はルナとプライディが新加入し、開幕一軍は難しい状況だったが、オープン戦で打ちまくり、実力でレギュラーの座を奪い取った。

 広島の外国人選手として、ライトル、ギャレットに次ぐ史上3人目となる通算100本塁打も目前で、間違いなく最強助っ人のひとりに挙げられる選手だ。

 今季で来日5年目。すっかり日本に慣れ親しみ、チームメイトはエルドレッドについて「日本人のようだ」と口を揃える。守備の際の指示やチームメイトをいじるときは、いつも日本語。試合前に監督が「元気?」と声をかけると、「カラゲンキ」と答え、「よく知っているなぁ」と驚かせたこともあった。

 街のなかでは"ママチャリ"を乗りこなし、遠征先では通訳を伴わずひとりで散策に出かける。そして長女はこの春、広島の小学校に入学し、母のシンディさんも昨年8月23日の巨人戦でホームランガールを務めるなど、エルドレッド同様、家族も広島を愛している。

 また、エルドレッドは巨漢でありながら全力疾走を心がけ、広島野球の伝統でもある「次の塁を狙う走塁」が自然とできている。河田雄祐外野守備・走塁コーチも「何も言わなくてもやってくれる。もともと、そういうものを持っているのだろう。その姿勢は本当にありがたい」と語っていた。

 緒方孝市監督との付き合いも5年目となり、強い信頼関係を築いている。

「(緒方監督は)僕のことはすべて知ってくれている。いいときも、悪いときも......。そのメカニックね」

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