打撃3部門キャリアハイも。坂本勇人が語る「打撃開眼」の軌跡 (3ページ目)

  • 深海正●文 text by Fukami Tadashi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 10代から巨人のレギュラーを務め、成功も失敗もくぐり抜けて精神面でも成熟してきた。これまでは高橋由伸や阿部慎之助ら、チームには何本も太い柱が存在し、どうしても“弟”のような立ち居振る舞いになってしまっていた。

 昨シーズンから巨人のキャプテンを任されたが、ベテランに「遠慮していた」と気を遣う場面も多かった。だが2年目を迎え、「(年齢に)関係なく、必要なことは言っていきたい」とチームを引っ張る意識は強くなってきている。

 7連敗中のときには選手間で話し合いを行なったが、その中心にいたのはもちろん坂本だった。

「シーズンを通して、こういう時期は必ず来る。若い選手も多い。『また負けた』という雰囲気になるのはよくない」

 ポジティブに、前向きになろうと訴え、「日々のワンプレーに集中しよう」と力説した。もともと明るい性格の持ち主で、普段の練習中から他人を乗せ、雰囲気づくりはうまい。事実、5月29日に先制打を放った重信は「(連敗中の空気は)そんなに悪くなかった」と証言する。

 主将に厚い信頼を寄せる高橋監督は言う。

「ここまでよくやってくれている。軸として、期待通りの働きをしてくれている。もちろん、まだ求めるものはたくさんあるけどね」

 さらなる奮起を期待し、それが十分に可能だと考えている。

 毎年、巨人の選手たちはキャンプイン前に宿舎近くの青島神社に絵馬を奉納するのだが、坂本は今年、「優勝」とともに「3割、20本、25盗塁」と目標を記した。

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