オリックスの核弾頭、西野真弘が憧れの人から譲り受けた1本のバット (2ページ目)

  • 波佐間崇晃●文 text by Hazama Takaaki
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 平野は現役時代、練習開始時に選手たちが外野で組む円陣の中心で力強く掛け声をかけていた。その後、驚くほど全力でキャッチボールを行ない、誰よりも最初に内野に入り、ノックを受ける。これがルーティンだった。

 さすがに2年目の西野が輪の中心で檄を飛ばすことはないが、練習中はよく大きな声を出している。そして、キャッチボールを行なう姿、ノックを受ける姿は平野と重なる。

 平野の引退セレモニーは、昨年の11月23日に京セラドーム大阪で開催されたオリックスのファン感謝デーだった。右手首リハビリを続けていた西野も駆けつけ、平野のスピーチに目を潤ませながら聞き入った。「せめてあと1年、一緒にプレーしたかったです」と西野は惜別の情をにじませていた。気持ちは伝わったのだろう。平野は西野に1本のバットを贈った。そのバットには「俺を超えろ」というメッセージが添えられていた。

 今シーズンから、西野本人が強く要望したこともあり、平野の応援歌を引き継いでいる。平野に伝えると「アイツに使ってもらえて嬉しいよ。あの応援歌には愛着があったからね」と目を細めていた。

 西野は今年26歳を迎えるが、平野は同じ年齢の2005年に初めてオールスターゲームに出場し、新人賞を獲得。スターダムへの階段を一気に駆け上がった。西野も飛躍の年とできるか。

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