世界一の宝石を持つ男・ディクソンがオリックスで成功したわけ (2ページ目)

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 後にディクソンとAAAで一緒に過ごしていたチームメイトは、他のチームに所属していたとき、同じような状況だったにも関わらず何ももらえず、ディクソンのことをすごく羨ましがっていた。

 しかしディクソンは、そんな宝物を見せびらかすわけでもなく、「指輪はアラバマ州にある実家の金庫にしまっています」と静かに言う。

「たぶん、まだ2回ぐらいしかはめたことがありません。見せたがる人もいるけれど、そういうのは僕のスタイルじゃない。もちろん、誰かに見せてって言われたら見せますが、どちらかというと、自分の心の中にしまっておくタイプなんですよね。記念として......」

 そして2013年にディクソンは、自分のことを気に入ってくれるもうひとつの球団とめぐり合った。それがオリックスだ。人間性もさることながら、来日以来、3年間で26勝を挙げた実績を球団側は高く評価。昨年、シーズンが終わる前に2017年まで契約を延長することを発表した。

 なぜオリックスで成功できたのかについて、ディクソンは次のように語っている。

「まず、日本の野球に適応できたことだと思います。僕は、ひとつのことにしばられるのではなく、新しい考え方を受け入れることに対して違和感がないのです。自分は『こうでなくてはいけない』という考えを持っていません。コーチたちの助言をきちんと聞いて、真剣に取り組んできました。だから、スタイルも少しずつ変化し、日本の野球に適応できていると思うんです」

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