反重力か? 武田翔太の「2回曲がる変化球」に大谷翔平も驚愕 (4ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 武田が見せる笑顔の裏には、常に自らを前進させるための覚悟が込められているのだろうか。そんな印象を武田に伝えると、武田はふっと笑って、こう答えた。

「でも、最近はあまり笑ってないですけどね。あんまりにも周りがうるさいものだから(笑)。でも、下を向いて笑っていますよ。別にふざけているわけじゃないし、準備はしっかりします。あとはストレスをためないように楽しんで、ダメなときはダメなので、いい意味で大雑把に。ストレスを溜めたら負けだと思っています」

 2015年のレギュラーシーズンでは自己最多の13勝をマークし、日本シリーズでは2年連続で優秀選手賞を受賞。さらに11月に行なわれたプレミア12では侍ジャパンに選出された。

 ドミニカ共和国戦で右足首をひねって降板するアクシデントこそあったものの、2試合に先発して7イニングを無失点。ここではシーズン中にはできないことを実験していたという。

「対戦するのは初めて見るバッターばかりなので、自分の配球がどれだけ通用するか、試させてもらいました。投手からの見え方で、勝負してみようと」

 通常、配球は捕手が過去のデータを参考にし、打者を観察しながら決めていくものだ。投手のなかには、自分では何も考えずにただ捕手のサイン通りに投げるだけという選手もいる。武田がプロ1年目から配球に一家言を持っていたことは前編にも書いたが、プロでの4年間を経て、武田は打者を観察することを覚えたという。

「投げた後に、バッターの腰あたりを見ています。真っすぐを張っていたときと、変化球を張っているときとでは、腰の動きが違ってくる。『真っすぐを待っているな』と思えば、次に変化球を投げるとか。それは、今まで見られなかったことですね」

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