DeNA筒香嘉智がドミニカ武者修行で追い求める「野球の原点」 (2ページ目)
そんな筒香と昨年ドミニカで行動をともにしていたのが、チームメイトの乙坂智(おとさか・とも)だ。横浜高校の後輩であり、2011年のドラフト会議で5位指名されDeNAに入団した乙坂は、4年目の今シーズンは一軍で自己最多となる52試合に出場し、3本塁打を記録。パンチ力のある打撃を武器に存在感を示し、激化するDeNAのセンター争いに加わった有望株である。
今年も筒香に同行し、試合には出場しないものの自主トレとしてウインターリーグに出場するチームの練習に参加する予定だ。
遠い異国のドミニカ野球は、果たして乙坂の目にどのように映ったのか?
「とにかく刺激的でした。僕は昨年、12歳から21歳の選手たちが所属するアカデミーでも練習させてもらったのですが、誰もが野球を心から楽しんでいるんです。コーチもミスをしたら怒るわけでもなく、『次だ、次だ』といった具合に指導している。日本の感覚とは異なり『君たちが成功するのは10年後だから、その時できればいいんだよ』とコーチが言っていたのは印象的でした」
日本の若年層の野球界を見渡すと、どうしても"目先の勝利"を優先する傾向にある。木を見て森を見ない勝利至上主義が横行し、子どもたちが自由の少ない窮屈なプレーを強いられるケースは数少なくない。
「うまく言えないんですが、そういう意味でドミニカでは野球を通して成長を促し、人間力を高めているというか、野球の本質ってそこにあるんじゃないかなって思ったんです。野球をするのはもちろん、野球をしている人たちを見ているだけで幸せな気持ちになるんですよ。ウインターリーグに出場している選手たちも、原っぱでボールを追いかける子どもたちと変わらない感覚で野球をやっている。とにかく楽しむことが大事なんだよって」
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