ドラフト総括、パ・リーグ編。ソフトバンクが見せた「圧倒的な力」

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Kyodo News

 セ・リーグに引き続き、パ・リーグを見てみたい。

 最下位の楽天は野手6人を獲得して、"センターライン"の強化に動いてきた。仙台育英の遊撃手・平沢大河はロッテとの競合の末に敗れたが、関東一高のセンター・オコエ瑠偉を外れ1位で指名。普通なら、即戦力の強化に心が向くはずだが、あえて投手はひとりだけ。この逆転の発想は何なのか?

3球団による競合の末、ソフトバンクが交渉権を得た県岐阜商の高橋純平3球団による競合の末、ソフトバンクが交渉権を得た県岐阜商の高橋純平

  能力の高い投手を集めても、打ち取った打球を確実にアウトにできる"バック"がいなければ、能力の高さは勝ちに結びつかない。

 今季、故障から復調の兆しを見せた釜田佳直と安樂智大。さらに、ファームで成長著しい大型左腕の森雄大。高卒で指名した彼らの成長を見越し、「次は野手を固める」という結論に達したことは容易に想像できる。

 2位の吉持亮汰(大阪商業大)は本職の遊撃手でもよいが、この選手を外野手で使ったら、日本一の外野手になる資質を十分持っているとにらんでいるのは、ドラフト前の記事で書いた通りだ。

 オコエと吉持が外野を守れば、どんな打球でも追いついてしまうんじゃないかと思えるぐらい、最強の外野が完成する。投手を中心に守り勝つ――そのメッセージはしっかりと伝った。

 これまで、投手は大学か社会人の即戦力を中心に獲得してきたオリックスだが、今年は5位で東海大相模の吉田凌、6位で仙台育英の佐藤世那の高校生右腕を指名してきた。低い順位の指名になったが、実力は証明済み。吉田はスライダー、佐藤はフォークという切り札を持っている。ストレートの精度を上げれば、その切り札はさらに威力を発揮するに違いない。現状を底上げしながら、将来のチームづくりにも目を配った指名に映った。

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