ドラフト直前、今年の「隠し玉」はこの4人だ! (4ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 50メートル5秒7の快足を打席でも生かす。なかでも打ってスタートを切るスピード、これがすごい。スイングするなり、もう大きな一歩でスタートして、打球が左中間を破ってグラウンドに落ちた時には、とっくに一塁を回っている。

 そしてバッティングのいやらしさ。ファーストストライクからフルスイングで仕掛けていけて、打ち損じたらファウルを重ねて四球をもぎ取る。ピッチャーにしてみれば、こんな嫌なバッターはいない。こういう仕事をコンスタントに繰り返せる選手が、本当のチームプレーヤーなのだ。

「スピードやったら負けてへんで!」と割って入ってきそうなのが、大阪商業大の内野手・吉持亮汰(右投右打)だ。

 内野ゴロを打って、一塁に向かっていく走りの痛快さは特筆ものだ。細かいピッチですべるように走っていく姿は胸がすく。バットを握る時はグリップをひと握り半空けて、見るからにしぶとい。

 ボールをおっつけて野手の間に落としたと思ったら、今度は叩きつけて高いバウンドを打ち楽々セーフ。そしてロケットスタートでたちまち二塁を奪う。吉持に長打なんていらないのだ。今シーズン、走れる選手に困ったチームは、結構上位で指名してくる可能性がある。

 守備でも、三遊間の深い位置から真っすぐに伸びるスローイングで出塁を阻む。その鉄砲肩は、もし外野手としてフル活用したら、日本一の外野手になる。そんなイメージもある。

 たとえば、10年経って振り返ってみたら、2015年のドラフトからすごい選手がいっぱい出ていた。そんなことになっても全然驚かない。それほどの逸材が今年のドラフトには隠れているのだ。

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