デストラーデ「野茂は人間だけど、イチローはエイリアンだね」 (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

―― メジャーリーグと日本の関係を見た時に、どんなことを考えますか。

「日本の選手がメジャーを目指すのは当然のことだと思う。世界のベストプレイヤーが集まるリーグだからね。ただ、唯一、気に入らないのは、アドバンテージが常にメジャーにあることだね。日本のスター選手がメジャーに行くと、そのチームのグッズを日本に売り込んでくる。テレビでも、ヤンキースやマリナーズの中継が、日本の野球よりも多い。でも、メジャーは日本のチームのグッズを売らない。それがビジネスなんだけど、メジャーだけが儲けているやり方が気に入らないんだ」

 デストラーデは、「WBCはなぜ開催されたのか、わかるかい」と問いかけてきた。

「僕の考えだけど、WBCはある国のために開催していると思うんだ。アメリカ? いや、違う。それは日本でもドミニカでもヨーロッパでもなく、中国なんだ。そのためにアメリカは中国にコーチを派遣した。中国はビッグマーケットだからね。NBAはヤオ・ミンを見つけたことで、とんでもない利益を生んだ。中国から、イチローまでとはいかなくても、井口(資仁)さんぐらいの選手がひとりでもメジャーに行けば、すごいビジネスになる。そのためにWBCという大会をつくったと言ってもいい」

―― では、これからの日本のプロ野球について、何か思うことはありますか。

「日本の野球文化のコアな部分を変える必要はない。先輩、後輩の関係だったり、数多いミーティングだったり......そこは大事な文化だと思うんだ。ただ、時代は変わっていくものだから、野球も変わっていかないといけないだろうね。特に、若い選手へのコーチングは時代に合わせていくべきじゃないかな」

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