始まりは2年前。DeNA筒香嘉智はいかにして覚醒したのか? (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 筒香がこの打席を振り返る。

「あの場面、4番にはホームランが求められるイメージがあると思うのですが、試合展開を考えた時に、確率的に低いホームランを狙うより、確実に出塁することが勝ちにつながると判断しました。その選択は正しかったと思っています」

 ここまではメンタル面での話が中心だったが、テクニカルな部分で大きな変化はあったのだろうか。

「去年からインパクトの瞬間にボールを捕まえる感覚がわかってきて、それを今年も継続できています。それまでは、インパクトの時に力が伝わらなかったというより、バッティングの型ができていなくて、それ以前の問題でした。まだ自分の思い描く完璧な状態ではありませんが、軸の回転で打てるようになったし、ボールを追いかけなくなったことも今の結果につながっていると思います」(筒香)

 自分の打撃を貫くと強い覚悟を持ち、技術的にも大きな飛躍を遂げた。筒香という打者を知れば知るほど、期待は大きく膨らんでしまう。大村コーチは言う。

「もともと、今やっているバッティングをやりたかったわけですから、吸収するのは早かったですし、伸びしろはまだまだありますよ」

―― となれば、3割、40本塁打、120打点も十分に可能性がありますね。

「数字とか、タイトルとか、そういうのではないんです。全国のベイスターズファンが『ここで打ってくれ』と願っている場面で必ず打つ。また、『あの打席はすごかった』と、You Tubeの再生回数がとんでもない数字になる。今は、そうした子どもが憧れるような選手を目指している最中かな」

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