2014.12.01

本塁打ゼロの男・岡田幸文「だから守備は誰にも負けたくない」

  • 島村誠也●取材・文text by Shimamura Seiya
  • 織田桂子●写真 photo by Oda Keiko

――今、岡田選手が“うまいなあ”と思う外野手の名前を教えてください。

「日本ハムの陽岱鋼選手は肩も強いし、柔らかい。彼も8割くらいの力で守備をしてますよね。あとはソフトバンクの柳田悠岐ですか。彼は打球の落下地点に入るスピードが速い」

 さて、ロッテの岡田といえば、「守備」と「足」で名を馳せてきたのは間違いないが、今年は少し様子が違った。“プロ入り初打席から連続打席ホームランなし”の岡田として脚光を浴びたのだった。日本プロ野球界に80年近く眠っていた、横沢七郎選手(東京セネタース)の1770打席無本塁打の記録を、7月31日に更新。ちょっとした騒ぎとなったのだ。

 インタビューしたのは「ジョージア魂賞」の年間大賞表彰式。その時のトークショーでもこのホームランの話題が出た。巨人の松本哲也が「僕もいつかはホームランを打ちたいのですが、岡田さんもホームランを打ちたいですか?」と岡田に投げかけ笑いを誘い、中日の山本昌は挙手をしてマイクを握ると「僕もプロ入りから31年間、ホームランを打ってないんですよ。若いころには打撃練習でスタンド入りはありましたが、最近はそれもない。まあ、僕に比べれば二人はまだ甘い(笑)」と話し、会場を盛り上げたのだった。

――開幕直前のオープン戦で、取材をさせていただきました。『プロ入り後、1637打席本塁打ゼロ。ロッテ・岡田幸文の挑戦』(4月3日付)という記事になったのですが、記録が記録だけに、結果的に岡田選手の迷惑となってしまったのではと後悔もしました。

「いいですよ(笑)。周りの方から注目されましたが、あの日々も僕のやることは変わらなかったですよ。ホームランを意識せずに、強くて低い打球をピッチャーの足元を狙って打つ。そして塁に出れば相手バッテリーにプレッシャーをかける。これは変わらないです」

――シーズン終盤の試合では、あわやホームランという打席もありました。

「手の感触が今までにないもので……。ああ、ホームランってこんな感じなんだなって。いっちゃった?みたいな(笑)。結局、フェンス直撃だったんですけど。記録はこのまま続けたいですね。でも、もちろんホームランは打ってみたい。けど打てないです。狙って大振りしたらバットに当たりませんから(笑)」

――岡田選手は足が速いので、ランニングホームランで記録が途切れてしまうかも。

「はははは。そうですよね。でも、やっぱりオーバーフェンスに夢がありますよね(笑)」

 守備にスランプはない。岡田は来年もまた、ファンをドキドキさせるファインプレーを見せてくれるはずだ。そして、ある日突然、岡田のオーバーフェンスを目撃する人もいるかもしれない。その人は最高の幸せものである。

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