不安要素だらけの広島が甲子園でミラクルを起こす3つの条件

  • 阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 ペナントレース最終戦で、優勝が決まっている巨人に敗れ、2位を逃した広島。クライマックス・シリーズ(CS)ファーストステージは、去年と同じく甲子園での阪神戦となった。「今年こそは......」と期待されたマツダスタジアムでの開催を逃した影響はないのだろうか。

セ・リーグ本塁打王に輝いた広島の4番・エルドレッドセ・リーグ本塁打王に輝いた広島の4番・エルドレッド

「去年は甲子園のスタンドに予想していた以上のカープファンが集まりびっくりしました」

 解説者の北別府学氏は1年前を振り返る。

「ファンの盛り上がりも凄かったが、去年はチームにも勢いがあった。初めてのCS進出を目指して一丸となり、チームの状態も良かった。だからこそ、敵地で2連勝することができた。それに比べると、今年は勝率こそいいが、勝てば2位が決まる試合を立て続けに落とすなど、いまひとつ勢いがない。一方の阪神は、一時、3位も危ないという状況から盛り返して2位になった。好調とは言えないが、下降線でCSを迎えた去年とは違う。両チームに勢いの差というのはほとんどないだろうから、ホームアドバンテージが影響するかもしれないですね」

 ということは、順位通り、阪神が有利なのか。今シーズン、広島は阪神に10勝14敗と負け越しており、甲子園での成績も2勝7敗と、不安な数字が並ぶ。

 また、前半戦のカープ快進撃の立役者だったリリーフ陣が次々と戦線離脱。抑えのミコライオもケガによる影響でファーストステージに間に合いそうもなく、その代役も決まっていない。

「シーズン終盤の調子でいけば、戸田隆矢、中﨑翔太といった若手の名前が挙がりますが、彼らに8回を任せることはできても、9回を託すのは難しい。自分も若い頃にリリーフを経験しましたが、8回と9回ではまったく違う。試合を終わらせるには経験が必要になります。そうなると、球威は落ちているけど経験のある永川勝浩や、なんとかCSに間に合いそうな一岡竜司が抑えに回るかもしれませんが......いずれにしても不安は拭えません」(北別府氏)

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