下剋上に自信。日本ハムが描く「金子攻略」のシナリオ

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 ある意味、特殊なシーズンだった。

 ファイターズのことである。

 7月以降、貯金は5を越えず、借金は3を越えない。2位には遠く及ばず、4位にはその座を脅かされない、安定の3位――栗山英樹監督は、数字上の可能性が残っているうちは「優勝目指してるよ」と言い続けてきたが、下剋上、つまり3位からの日本一へ、そのシナリオを長い間、じっくり、あれこれと練り続けてきたはずだ。

今シーズン、大谷翔平はオリックス戦に2戦2勝と相性がいい今シーズン、大谷翔平はオリックス戦に2戦2勝と相性がいい

 栗山監督がクライマックス・シリーズ(CS)前に明かしたことは、この3つ。

一、 調子のいい選手を使う。レギュラーでも状態が悪ければスパッと代える。

二、 大谷翔平はファースト・ステージ第1戦の先発。ファイナル・ステージはバッターとして起用する。バッターの場合、守備につく可能性もゼロではない。

三、 初戦を取る。最初の試合で負けたら終わりというつもりで戦う。超短期決戦で流れを変える時間はない。

 栗山監督の言葉通り、ファースト・ステージにおける第1戦の比重はあまりにも重い。

 CSが始まった2007年以降、ファースト・ステージはセとパ、合わせて14度、行なわれている。その中で第1戦に敗れてファイナル・ステージへ勝ち上がったのは、2009年のドラゴンズ(2位)だけ。3位のチームは14度のうち、8度も勝ちあがっているのだが、そのすべてが第1戦を取っているということになる。つまり、2位だろうが3位だろうが、ホームアドバンテージがあろうがなかろうが、栗山監督の言葉を待つまでもなく、ファースト・ステージの初戦を落とすことは終わりを意味するに等しい。

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