広島逆転優勝へ! 丸、堂林は「由宇球場」の原点に戻れるか

  • 谷上史郎●取材・文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Nikkan sports

 ペナントレース最終戦で敗れ本拠地開催はならなかったが、広島カープは、昨年に続くクライマックスシリーズ出場。「おらが町のカープ」の逆転優勝を信じ、地元の熱は高まったままだ。

 今年はシーズンを通し、ファンの声が一段とチームの背中を押してきた。カープ女子による一大ブームも含め、球団がハード、ソフトの両面で辛抱強く作り上げてきたチームの魅力が深く浸透してきた結果だ。巨人や阪神と見比べても、まず強く感じるのは自前の選手がズラリと並ぶカラーだ。しかもその選手たちが攻守走のバランスが取れ、躍動感あふれる戦いを美しいマツダスタジアムで展開する。ファンの声にも、一層の思いが募ろうというものだ。

ファウルゾーンがとにかく広い由宇球場。これが守備、走塁への意識を高めるファウルゾーンがとにかく広い由宇球場。これが守備、走塁への意識を高める

 叩き上げの選手が並ぶ顔ぶれに「由宇を思い出しますね」と言ったのは山崎隆造氏だ。80年代、俊足巧打のスイッチヒッターとして活躍し、引退後は2011年まで2度の2軍監督など指導者としてファームを中心に見てきた。もちろん、山崎氏が言った"由宇"とは広島2軍の本拠地・由宇球場のことだ。もともと広島の練習量は12球団一と言われてきたが、ファームの練習にいたっては"胃袋から血が出る"と表現されるほど熾烈を極めた。

 1992年までは広島県福山市にある、みろくの里神勝寺球場(現・ツネイシスタジアム)を本拠としていたが、山崎が引退しコーチとなった93年から由宇球場(山口県岩国市由宇町)に移転。

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