交流戦Vの巨人はこのままセ界を独走してしまうのか? (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 山﨑氏は6月15日の楽天戦(コボスタ宮城)での原采配が特に印象に残っているという。巨人は楽天先発の則本昂大に8回まで1安打に抑えられ、1点ビハインドで9回表の攻撃を迎えた。

「この回先頭の長野久義がヒットで出塁し、普通なら送りバントの場面。でも原監督は代打に高橋由伸を送り、強攻策をとった。結果、ライト前に弾き返し、無死一、三塁とチャンスを拡大。その後も一気にたたみ掛けて逆転に成功しました。同点ではなく、一気に逆転を狙ったあたり、原監督の思い切りの良さを見ました。劣勢になればなるほど思い切った采配をしてきますよね。その気持ちが、いい意味で選手に伝わっていると思います」

 粘り強い戦いを制して優勝をもぎ取った巨人は、気がつけば2位・広島に2.5ゲーム差をつけてセ・リーグの首位に立っていた。ちなみに、原監督が2度目の就任となった2006年以降、交流戦で勝ち越した年はすべてリーグ優勝を成し遂げている。さらに交流戦優勝を果たした2012年シーズンは、2位・中日に10.5ゲーム差をつける独走劇を演じて見せた。原監督の言う「チームはまだ70%」という数字が90%になり、100%になってしまったら……。再び、独走状態になってしまうのだろうか。

「交流戦前は首位に4.5ゲーム差の3位でしたからね。これは広島の失速につきます。やはり9連敗は痛すぎた。その間、巨人は7連勝し、うまく勢いに乗った。ただ、広島も最後は5連勝し、再び勢いを取り戻しつつある。ヤクルトも徐々にいい戦いをするようになってきましたし、このまま巨人がぶっちぎることはないと思います」(山﨑氏)

「正直、巨人がこのまま独走するとは思えません。ただ、首位に立ったことでベンチに余裕が生まれるだろうし、まだまだ伸びしろはあります。二軍では内海や澤村(拓一)が調整中で、彼らが戻ってくれば投手陣の入れ替えができる。先程も言いましたが、やっぱり巨人は戦力の量が違います。個人的な意見ですが、独走するかどうかは、他球団の意気込みにもよると思うんです。巨人を意識したローテーションを組むなりして、何とか巨人の勢いを止めてほしい。とにかく、3位狙いの野球はしてほしくないですね」(槙原氏)

 再び、リーグ戦が始まるが、まだまだセ・リーグの灯を消すわけにはいかない。特に交流戦で思うような結果を残せなかった広島、阪神には「打倒・巨人」に向け頑張ってもらいだいものだ。いずれにしても、我々が見たいのは3位争いではなく、首位争いなのだ。

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