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巨人・菅野、ヤクルト・小川に捧げる「開幕投手の心得」 (2ページ目)

 メジャーでは、僕みたいなタイプは珍しいと思います。他の先発ピッチャーは、誰も寄せ付けないような雰囲気を出すタイプの人ばかりでしたから。ニューヨーク・メッツでチームメイトだったリック・リードは、先発する日に履く靴下を当日の朝から真剣に選んでいました。好みのシミの加減があるみたいなんです。だから靴下を一生懸命選んでいる日は、「今日はリックが先発か」ってわかりましたよ(笑)。ボビー・ジョーンズや野茂英雄などは、誰とも話さず音楽を聴いてジッとしていました。

 先発ピッチャーは王様扱いで、周囲も好きなようにさせてくれます。それくらい名誉であり、同時に責任があるということ。それはメジャーでも日本でも同じです。

 なぜかと言うと、ピッチャーは先発する日に合わせて、アメリカなら4日、日本なら6日もかけて調整しているからです。そう考えると、先発して結果が出なかった場合、責められても仕方がない。調整の4日間、あるいは6日間が無駄になるし、他のチームメイトからしたら、「長い間調整して、何やねん」となるからです。

 ただし、一流ピッチャーになるためには、そうしたプレッシャーとうまく付き合っていかなければいけない。特に、シーズン開幕戦の独特の緊張感は毎年、12人しか味わえません。だからこそ、名誉に感じてほしいですね。

 今年、僕が特に楽しみにしているのは、巨人の菅野智之、ヤクルトの小川泰弘、楽天の則本。ルーキーイヤーの昨季大活躍し、今年2シーズン目を迎える3人です。彼らにとって、プロ野球選手としてオフを過ごしたのは初めて。この期間をどう過ごしたかが、2年目のシーズンにものすごく影響します。

 サボっていたらすぐにバレますが、彼らのプレイスタイルを見ていると、ものすごくプロ意識を感じます。特に、小川はしたたか。投球フォームは豪腕投手のようですが、変化球をしっかりコントロールして抑えていく。則本にしてもそうです。彼も150キロを超すストレートがありながら、コントロールで抑えていくタイプ。そういう選手って、サボらないと思います。自分のことをわかっていて、しっかり考えているはずですから。

 それに菅野にしても、1年間の浪人生活がありながら、昨年、あれだけの成績を残したということは、浪人の1年間をしっかり過ごしたということ。そうやって考えていくと、おそらくこの3人は、2年目のジンクスは当てはまらない。当然、相手打者も対策を練ってきますが、ちょっとやそっとの研究では打てない球を投げています。

 最高の晴れ舞台となる開幕戦。緊張と興奮に包まれた球場全体の視線を一身に浴びながら、各球団のエースが投げ合うわけです。観衆が手に汗握るような、緊迫した投手戦を見せてほしいですね。

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