常勝チーム復活はあるか? ファンが見た「新生ドラゴンズ」

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya

 昨シーズン、12年ぶりにBクラスに転落した中日ドラゴンズ。2014年は常勝チーム復活を目指し、落合博満ゼネラルマネージャー(GM)、谷繁元信選手兼監督の新体制のもと、沖縄県北谷(ちゃたん)で新しいシーズンをスタートさせた。

 早朝、雨が降りしきる北谷公園野球場を訪れてまず驚いたのが、女性ファンの多さだった。ざっと数えて、男性の4倍ぐらいの人がいただろうか。なかでも、セットアッパーの浅尾拓也の人気がすごい。

兼任監督としてチームの指揮を執る谷繁元信兼任監督としてチームの指揮を執る谷繁元信

「傘をさしている人と、さしていない人がいるんだね」

 横に立っていた長身の年配の男性が、こちらを見ながら笑った。その方は、中日OBでフォークボールの元祖・杉下茂さんだった。背筋が真っすぐに伸び、88歳とはとても信じられないほど若く、その独特な雰囲気は何とも言えぬ存在感を放っていた。

 午前10時、メイン球場で選手のウォーミングアップが始まる。女性ファンはお目当ての選手の写真を撮ろうとスタンド最前列に集まり、ひと目で年季の入ったファンだとわかる人々は観客席に座って黙々と練習を見ている。ドラゴンズファンは新体制をどのように受け止めているのだろうか。話を聞いてみた。

 愛知県在住の竹下さん(63歳/男性)は、奥様を連れて初めて沖縄キャンプにやって来た。

「昭和33年からのファンで、森徹さんが入団した年だったかな。翌年には江藤慎一さんが入った。今はふたりとも亡くなってしまって......寂しいね。私は落合さんのGMは予想していたけど、監督は谷繁ではなく、モリシゲさん(森繁和ヘッドコーチ)になると思っていたよ」

 竹下さんは「大好きな落合さんが戻ってきてくれて嬉しい」と喜びながらも、今年の中日については厳しい目で見ている。

「チームを冷静に戦力分析しちゃうと優勝は100パーセントありません。野球はやっぱり投手力でしょ。今の中日の投手陣じゃ、巨人に行ったらローテーションに入れない。運がよくて3位じゃないの(笑)。勝つことで毎日を楽しみたい人は巨人を応援すればいい。でも、私は巨人ファンにはなりたくないし、これだけ長く好きだと、どんなことがあってもドラゴンズを嫌いにはなれないんですよ」

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