ヤクルトファンが望む「宮本慎也の後継者」は? (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Nikkan sports

 昼を過ぎると、選手の出入りが激しくなり、ファンの動きもサイン収集や写真撮影で慌ただしくなる。声をかけても、その視線は選手の動きにありそわそわして落ち着かない。小倉さん(22歳/男性)と中川さん(23歳/男性)は、忙しい中、次期リーダーについて答えてくれた。

「リーダーは川端かな。コミュニケーション力がありそうだし、元々ヤクルトは若いチームというイメージがありますから」(小倉さん)

「いきなり若手に任せると、『自分がチームを引っ張らなきゃ』ってプレッシャーにつぶされるかも。生え抜きじゃないけど、相川がいいかも。WBCの経験もあるし……」(中川さん)

 午後になると雨も上がり、グラウンドでは川端とルーキーの西浦直亨(22歳/内野手)の特守が始まった。スタンドに座るファンは、静かに練習を眺めている。特守を終えてクラブハウスに戻る川端選手に声をかけた。

―― 宮本選手のいないキャンプとなりました。

「(宮本)慎也さんが引退して、キャンプではチーム全体に気の緩みが出てしまうと思っていたんですが、始まってみたらそんなことはありませんでした。選手同士で『いつも以上に気を引き締めよう』って話したことを、みんなが実行しています」

―― 昨シーズン、ケガからの復帰後、70試合で打率.311をマーク、9月には月間MVPに選ばれました。今季はチームを引っ張る選手としても期待されています。

「僕自身、そんな意識はありません。中学、高校と一度もキャプテンをやったことはないですし、どういうものなのかもわかりません。それより、1年間フル出場したことがないので、まずは1年間グラウンドに立つことが先決です。その後に、慎也さんがやって来たことを僕はずっと近くで見てきましたから、少しでも引き継げたらいいなと思います」

 偉大なリーダーを失ったヤクルトだが、新しいリーダーが自然と生まれた時、これまでと違った魅力あるチームに生まれ変わるのだろう。焦っても仕方がない。新しいリーダーが誰になるのか、宮本慎也のいない2014年のヤクルトをじっくりと見ていくしかない。

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