則本昂大、小川泰弘......なぜ大卒ルーキーばかり勝てるのか

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 先日あるところで「どこよりも早い2014年新人王予想」という企画の原稿を書いた。昨年も行なった同様の企画では、セ・リーグの本命は小川泰弘(創価大→ヤクルト)、対抗に藤浪晋太郎(大阪桐蔭高→阪神)。パ・リーグの本命は東浜巨(亜細亜大→ソフトバンク)、対抗には松永昂大(大阪ガス→ロッテ)の名を挙げた。結果はご承知の通り、セ・リーグが小川、パ・リーグは則本昂大(三重中京大→楽天)が新人王を獲得した。

今季15勝を挙げ、楽天の初優勝に貢献した則本昂大。今季15勝を挙げ、楽天の初優勝に貢献した則本昂大。

 例えばここ3年で見ると、セ・リーグは澤村拓一(中央大→巨人)、野村祐輔(明治大→広島)、小川。パ・リーグは牧田和久(日本通運→西武)、益田直也(関西国際大→ロッテ)、則本。牧田を除く6人中5人が大学出の投手で、タイトルを獲得している。

 ちなみに80年以降のセ・リーグで、3年連続で大卒投手が新人王のケースは2度あり、1度目は97年から99年にかけての澤崎俊和(青山学院大→広島)、川上憲伸(明治大→中日)、上原浩治(大阪体育大→巨人)。2度目は02年から04年の石川雅規(青山学院大→ヤクルト)、木佐貫洋(亜細亜大→巨人)、川島亮(八戸大→ヤクルト)。パ・リーグでは3年連続しての大卒投手の受賞はなく、80年以降では2年連続受賞も91年の長谷川滋利(立命館大→オリックス)、92年の高村祐(法政大→近鉄)のみ。

 ただ、ここに挙げた8人はいずれもドラフト1位指名の選手で、セ・リーグの6人は逆指名や自由枠で入団した選手。対して、ここ3年で新人王に輝いた大卒投手で、1位入団は澤村と野村のふたりだけ。小川、則本は2位、益田は4位指名で、しかも創価大、三重中京大、関西国際大と大学球界では主流に属さないチームの出身だ。このあたりに昨今の野球界を取り巻く環境、時代の変化を感じさせるものがある。

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