ロッテ快進撃を支える、スカウトたちの「眼力」 (3ページ目)
その代表が昨シーズン首位打者になり、WBCにも選ばれた角中だという。
「彼は独立リーグのころから見ていました。決して器用な選手じゃないけど、体に強さがあった。スイングが速いし、ハードな練習を続けていっても状態が変わらない体の強靭さを持っていました。数字などではなく、そのあたりが指名の決め手になりました」
下位指名から活躍する選手が出て注目されるマリーンズだが、一方で、似たような選手を取りすぎるのではという声もある。たとえば外野は、岡田、角中に、2010年のドラフト1位伊志嶺翔大、2009年の4位清田育宏、そして内野からコンバートされた2009年1位の荻野貴司と、いずれも俊足、好守で中距離打者が並ぶ。そのあたり、バランス的に問題はないのだろうか。
「僕らは1年単位ではなく、長い目でチームを作ることが求められます。ウチがここ数年考えているのは、戦力に厚みを出すこと。いきなりFAなどでたくさんの戦力を補強することはできないので、ポジションごとに魅力ある選手を集め、その競争の中で戦力を分厚くしていきたい。外野は確かに多いように見えますが、故障者や不調の選手が出ても、大きく戦力が落ち込むことがなくなった。投手や内野、捕手もそうやって厚みを出していきたいんです」
おそらく編成や首脳陣が次に考えているのが、捕手陣に厚みを出すことだろう。今シーズンは金澤岳、川本良平に加えて、21歳の江村直也が起用される試合も増えた。二軍には大卒3年目の小池翔太や昨年の甲子園を湧かせた田村龍弘もいる。今年秋のドラフトで、さらに新しい名前が加わるかもしれない。
「10年余りやってきて、スカウトというのはあまり人の話を聞いちゃいけない。アドバイスを受け付けないというのではなく、他球団の人の評価などは聞かないほうがいいという意味です。どうしてもそれに引きずられますからね。だからウチは基本的に個別に動きます。いかに他と違う目を持ち、違う動きができるかが勝負だと思うんですよ」
こうしたぶれない姿勢こそが、今の好調マリーンズを支えているのだ。
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