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首位を走る西武。なぜ次々と若手が台頭してくるのか? (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • 小内慎司●写真 photo by Kouchi Shinji

 2003年限りで松井稼頭央(現・楽天)が去れば、中島が台頭する。08年に中日へ移籍した和田一浩の守っていた外野では、栗山や秋山が躍動している。西武にはなぜ、若手が伸びる土壌があるのか。2011年5月に巨人から加入したキャッチャーの星孝典は、両チームの違いをこう見ている。

「ジャイアンツはマスコミやOBに勝ちを求められます。伝統として勝たなければダメというチーム。ライオンズは自覚みたいなところから、勝ちたい欲求が強い。ベテランが上手くバックアップして若手をもり立てています」

 高卒2年目の永江は、開幕戦に9番・ショートで先発出場した。入団時から評価されていた守備に加え、オープン戦で打撃をアピールして開幕スタメンの座を射止めた。その裏にあったのは、セカンドの片岡治大とキャプテン・栗山の気遣いだ。

「片岡さんはよく話しかけてくれて、楽しい雰囲気にしてくれます。栗山さんにはキャンプでバッティングの技術的な話を聞いて、練習しました」

 現在は打率1割台と苦しむが、守備という絶対的な武器を持つ永江は一軍の戦力として十分に必要とされている。同じような状況から主力に成り上がったのが、3年目の秋山だった。

 秋山はプロ入り1年目に打率2割3分2厘とバットでは苦しんだものの、守備で欠かせない戦力として110試合に出場した。実戦をこなしながら経験値を高める一方、シーズンオフにはひたすらバットを振り込んだ。そうして昨季リーグ6位の打率2割9分3厘を記録すると、今季はリーグ6位タイの5本塁打と長打力にも磨きをかけている。

「1、2年目は個人成績を気にしすぎるところがありました。アピールできないと、交代させられますからね。でも試合を重ねるうちに打ててくるようになり、気持ちが変わった部分はあります。今年は『4打席のどこかで仕事をできれば』という意識です」

 若手が台頭する背景には、指揮官の起用法もある。例えば、開幕から1番を打ってきた片岡が左太もも痛で欠場した4月28日の楽天戦では、金子をトップバッターに据えた。抜擢に猛打賞で応えた金子だが、それまでの5試合では17打数2安打と調子を落としていた。それこそが、7番から昇格させた理由だった。

「1番は学生の頃の彼の位置。調子が悪いからこそ1番にした。いいときはいじりたくない。悪いから、1番でいこう、と」

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