「未完の大器」がついに開花?今年の菊池雄星はココが違う! (3ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • 小内慎司●写真 photo by Kouchi Shinji

「来年から大学に進学した同い年がプロに入ってくるので、その前にもう1度、自分のポジションを確立することが大事。自分は甲子園で注目してもらったことで、常に『一番でいたい』と思ってきました。『××世代』と言われますが、今村(猛)や堂林(翔太)という同い年には負けたくない。僕は負けるのが一番嫌い。同じ年に生まれたからには、一番になりたい」

 負けず嫌いの性格だからこそ、高校時代の菊池はナンバーワンの評価を得るまでに成長できたのだろう。だが、プロで再びそう評されるためには、『スター体質』からの脱却が必要だと、炭谷は語る。

「マウンドで自信が見えるようになったのはいいことなんですけど、あいつの場合は性格的に調子に乗るところがあります。だから僕としては、抑えてあげないといけない」

 4月13日の楽天戦では、ストレートが150キロ台を計測する度、仙台の観客はどよめいた。すると、次の球は必要以上に気持ちが入り、力んだボールになった。今季、そうした場面が何度かあり、炭谷はイニング間に注意しているという。

 押すところは押す、引くところは引く――。冷静に投げ分けるのも、勝てる投手の条件だ。

「今年は1年間、ローテーションを守ってほしい。そうすれば(勝ち星は)ついてくる」

 菊池に期待する勝利数を渡辺監督に聞くと、こんな答えが返ってきた。現時点で持っている実力を、力まずに出し切れるか。菊池がふたケタ勝利を飾り、再び「世代最高」の評価を取り戻すには、自然体を貫けるかどうかがポイントになる。

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