【プロ野球】パ・リーグ14年ぶり野手の新人王を目指す、
27歳のルーキー・川端崇義

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Nikkan sports

パ・リーグの野手としては14年ぶりの新人王を目指すオリックスの川端崇義パ・リーグの野手としては14年ぶりの新人王を目指すオリックスの川端崇義 開幕前は優勝候補にも挙げられていたオリックスだったが、早々に覇権争いから脱落し、9月10日現在、最下位に甘んじている。乗り切れない戦いを繰り返すチームにあって、唯一、明るい話題を提供しているのが今年ドラフト8位で入団した27歳のオールド・ルーキーの川端崇義だ。

 1年前の秋、社会人野球の華である都市対抗で優勝を飾ったJR東日本。そのトップバッターを務めていたのが川端だった。都市対抗決勝の5日前にオリックスから指名を受け、社会人野球最後の一戦となったNTT東日本戦でも、川端はいつもと変わらぬフルスイングを見せていた。

 コンパクトにしてハードなフルスイング。そしてファーストストライクから仕掛けていく積極性。このふたつが川端のバッティングを支えているといってもいい。

「強く振るというよりも甘い球を確実に捉える。いつも心掛けているのはそこだけです」

 その積極的な打撃でパ・リーグ9位の2割8分6厘をマーク。その一方で四球は15個と規定打席到達者の中では2番目に少なく、プロの世界でも自らのスタイルを貫き、結果を積んでいる。

 昨年のドラフトでは育成枠を除く72人が指名されたが、川端の名前が呼ばれたのは71番目。それでもキャンプ、オープン戦で結果を残し、開幕一軍をつかんだ。ただその時は、守備固めと代走で2試合出場したのみで、すぐにファームに降格。当時の印象を新井宏昌二軍監督が語る。

「積極的に振っていく姿勢は一貫していました。ただ、スイングの軌道は今と少し違っていて、簡単にいえばドアスイング。引っ張る打球が多かったし、詰まる打球も多かった。そこで『少し下から振り上げるぐらいの感覚でスイングしてみたらどうか』とアドバイスしました。下から振り上げる感覚で打つと、インサイドからバットが出やすくなるんです。そのあたりから打球も変わってきましたし、数字も残すようになった印象がありますね」

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