【プロ野球】クローザーを苦しめる「統一球」と「3時間30分ルール」 (2ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

ケガや不調もあって、どのチームの絶対的な守護神の確立に頭を悩ませているケガや不調もあって、どのチームの絶対的な守護神の確立に頭を悩ませている そしてもうひとつ、『3時間30分ルール』でクローザーを悩ませるのが、「準備の難しさ」だと与田氏は言う。

「これまでの延長12回までだと、どういう場面で出ていくのか、ある程度予測できたと思います。しかし、時間との勝負になると展開が読みづらい。私もクローザーの経験がありますが、いちばん苦労したのが準備です。体も気持ちも100%の状態で、はじめて力が発揮できるもの。それだけ登板のタイミングというのは非常に大きな問題なんです」

 時間との戦いになれば延長に入るのか、入らないのかもわからない。そうした状況での準備は、想像以上の負担を強いることになるという。当然、このままではクローザー受難の時代はこれからも続いていくだろう。これらの解決策はあるのだろうか? 与田氏は言う。

「監督、コーチをはじめ、首脳陣にとってはすごく難しい問題だと思います。長い目でシーズンを戦っているとは思うのですが、目の前の試合は何としても勝ちたい。でも、それでは選手は壊れてしまう。だから、連投は2試合までとか、2点差以上は投げさせないとか、何か自分たちのルールを作るべきです」

 そして最後にこう付け加えた。

「マイナーリーグのあるメジャーと違い、日本のプロ野球は絶対的な人数が少なすぎます。ひとりケガをしたからといって、すぐ次の選手というわけにはいかない。それはチームだけの問題にせず、野球界全体で取り組んでいくべきだと思いますね」

 投手分業制となって久しいが、クローザーは常にチームの命運を握っている。それだけにどのチームもクローザーの確立に知恵を絞り、時間を費やしてきた。もちろんこれからも、そうした姿勢は変わらないだろう。ただ、これからは育て上げるのと同じぐらい、クローザーを守ってほしいと切に願う。

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