【プロ野球】将来のエースと4番の台頭で戦いに変化。横浜DeNAの未来は明るい!? (2ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • photo by(C)YOKOHAMA DeNA BAYSTARS

 また筒香が山本昌を打ち崩したその日、将来のエース候補と期待される国吉佑樹が5戦目にして今季初勝利をあげたのも明るいニュースだった。この若武者について元横浜エースであり野球解説者の野村弘樹氏は次のように語る。

「国吉の良さはスピードがあるので力勝負ができること。ピッチャーにとって真っ向勝負できるのは素晴らしい資質です。今は下手に技術で抑えようとせず、自分の持っているモノの精度とスタミナを高めていけばいい。開幕から勝てなかったのは、もっと大胆にいけばいいのに、時々、丁寧に投げようとし過ぎるあまり制球を乱していた。初勝利を収めた中日戦は、いい意味で開き直っていたし、何も考えず投げれば結果はついてくるはずです。将来エースになれるか? スケールも大きいし可能性は十分にあります。というか、ならないといけない逸材だと思います。投げていくうちに駆け引きやペース配分は覚えられる。だから今は結果を恐れず、がむしゃらに投げてほしい」

 横浜は今シーズンから親会社が変わり、フロントも監督も一新した。つまり、一度リセットボタンが押されたわけだ。以前、春田真オーナーは「2012年は最下位脱出、3年後にCS、5年後に優勝」と言っていた。そして今、横浜がすべきことは、目指すべき戦いに備え、若手を積極的に起用し、土台を作り上げることではないだろうか。98年以来遠ざかっている優勝への道筋を照らす「ただでは負けないチーム」という凄味を今シーズンは身に付けてほしい。98年の優勝当時、主力選手だった前出の野村氏も、横浜の変化に期待している。

「98年の主力は私と同世代の選手が多かったんですけど、若手時代からたくさん試合に出させてもらい経験を積んだからこそあの優勝につながったんです。ですから筒香や国吉だけでなく、若手選手にはもっと出てきてほしい。そして自覚と結果がついてくれば大きな戦力となってチーム力は必ず上がっていくはずです」

 筒香、国吉の他にも、1番に定着して規定打席には届いていないが3割をキープしている荒波翔や、内野のレギュラー獲りに意欲を燃やす梶谷隆幸など若手の起用も増え、試合でも粘りを見せるようになってきた横浜。もちろんプロである以上「負けてもいい」とは言わないが、未来のために若手を積極的に起用し、相手に一太刀浴びせる濃厚な味わいある野球を今後も期待したい。

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