【プロ野球】開幕3連敗で二軍降格。エース・涌井秀章に何が起きたのか? (2ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

「涌井も統一球に関して『滑る』と言っていたように、当初から苦労していました。その対応策として強く握って投げるようにしたのですが、それがよくなかった。もともと涌井はボールを軽く握り、腕のしなりを使って投げるタイプでした。しかし、強く握ることで腕のしなりが失われ、肘に負担がかかるようになった。昨年、肘痛で戦線離脱しましたが、それが原因だったみたいです」

 他球団のスコアラーも統一球導入後の涌井の変化について、次のように説明する。

「肘の影響もあるんだろうけど、腕が振れなくなった印象があります。以前の涌井は、しっかりと腕を振って投げるから打者の手元でもうひと伸びがあった。しかし昨年から、ボールが垂れるというのか、伸びがない。それにコーナーギリギリを突くという自慢のコントロールも失われていたような気がします」

 確かに、今シーズンの開幕戦でも5回途中までに5四球と制球に苦しんだように、以前の涌井とは別人の投球内容だった。

 ここまで(4月16日現在)西武はエースの不調もあり、10試合を終えて2勝8敗と苦しいスタートを強いられた。「まだこの時期でよかった」という声もあるが、大塚氏は期待を込めて言う。

「エースが一軍にいないというのは非常事態です。じっくり調整して、万全の状態で戻ってきてほしいという意見もありますが、私はすぐに帰ってきてほしい。肘が原因であればじっくり治すべきだとは思いますが、ただの不調であれば涌井には焦ってほしいですね。正直、シーズンは先が長いとはいえ、このまま引き離されると、優勝はおろかAクラスさえも危うくなります。確かに結果は出ていませんが、まったく通用していないというわけではない。きっかけさえあれば、きっと変わりますよ」

 まだ開幕したばかりとはいえ、いつまでもエース抜きの戦いを続けるわけにはいかない。早くも4月にして修羅場を迎えたライオンズ。この危機を脱するのは、涌井の完全復活しかない。

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