2012.04.06

【プロ野球】阪神・和田監督は3つの『大命題』をクリアできるのか?

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

コーチ経験も豊富で選手からの信頼も厚い和田監督 開幕5戦を終えて2勝1敗2分とまずまずのスタートを切った、和田豊新監督率いる阪神タイガース。安藤優也の復活など明るい話題もあったが、一方でオープン戦最低のチーム打率だった打線の強化やベテラン選手の起用法など、今シーズンの課題は山積している。
 
「鳴かぬなら……」

 和田監督がそう呟いたのは、オープン戦で5回目となる完封負けを喫した3月15日、DeNA戦後の囲み取材を締めるときだった。この日初めてコーチ時代から腹案に持っていたという「4番・鳥谷」の起用も機能せず。どうすれば貧打線を活気づけられるかと迫る記者たちに、「鳴かぬなら……あとはオレの性格を読み取ってくれ」といって、囲みから離れていったのだ。

 鳴かぬなら……。自身の性格を読み取れといった先には、いかなる答えがあるのか。和田監督を知るチーム関係者はいう。

「和田監督は豊臣秀吉タイプ。つまり”鳴かせてみせようホトトギス”という意味を見込めたつもりなのでしょう」

 鳴かせてみるとは自身の采配、起用によって選手を動かし勝利に導くということで、待つのでも、切り捨てるのでもないという意味が込められている。さらに関係者は続ける。

「目先から言えば、まず4番です。和田監督は新井に固執していない。好調な選手がいれば鳥谷でもマートンでも、あるいは金本が復調したと判断すればもちろん使う考えです」

 言い換えれば、あえて理想のラインナップというものを持たず、その時々の選手のコンディションで打線を組んでいく。言葉にすれば簡単だが、実践するとなると決して容易ではない。だが、彼のそうした自負を支えているのが、チームの生え抜きとしてプレイし、引退後はずっと二軍と一軍でコーチを務めあげてきた経験と蓄積されたデータだ。

 近年、二軍監督などいわば”下積み”を経験してきた一軍監督が好結果を出している。西武の渡辺久信、ヤクルトの小川淳司、ソフトバンクの秋山幸二らがそうだ。仮に監督経験がなくても二軍コーチとして選手の若い時期に接し、育つ過程を間近に見ることによって選手の特徴や潜在能力、場合によっては限界までも把握できていることは、かなりのアドバンテージになるだろう。