【プロ野球】セ・リーグ戦力分析。巨人の対抗馬は投手力の広島だ! (2ページ目)

  • 石塚隆●構成 text by Ishizuka Takashi
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 そして3年ぶりの日本一を奪還すべく大型補強に踏み切った巨人やけど、誰が見ても杉内俊哉、ホールトンの加入は大きいし、昨年のローテーション投手が控えにまわるほど充実している。杉内はちょっと人見知りなところがあって、チームに馴染めるか心配してたんやけど、様子を見る限り同年代の選手も多く、いい雰囲気でキャンプを過ごしとったわ。同じチームからきたホールトンの存在も大きいんやろうな。野手も村田修一の加入は確実にプラス。オープン戦ではもうひとつ調子の上がらなかった村田も、シーズンに入ればきっと打つやろう。横浜の時とは違って周りに打てる選手がいるので、マークも甘くなるやろうし。それにボウカーは巨人にとって久々の当たり外国人。走攻守そろった万能型の選手で、こういう選手がひとりいるだけで攻撃の幅が本当に広がるんや。原監督にとってもボウカーの存在は心強いやろうな。圧倒的な強さはもしかしたら感じられないかもしれないけど、シーズン終了時には高い勝率をあげているとオレは見てる。もちろん優勝候補筆頭や。

 巨人とは反対に補強らしい補強をしなかった阪神。ドラ1の伊藤隼太が注目されているけど、まだまだ発展途上の選手。もっとアピールしていかないとレギュラーは難しいんとちゃうかな。とにかく今年の阪神はいかに現有戦力で戦っていくかやけど、投手陣はキャプテンに任命された藤川球児が投手陣を引っ張っているのが印象的やった。能見篤史、岩田稔、久保康友、スタンリッジ、メッセンジャー、そして復活を予感させる安藤優也がきちんと仕事できれば、投手陣は大崩れはないやろう。それより心配なのが守備。城島健司がファーストにまわったことで、センターラインが不安定。それにベテランも多く、采配に関しては和田監督も頭を悩ますやろうな。

 そして今シーズンの台風の目になると睨んでいるのが広島や。今までは打撃力の弱さが目立っていたけど、大砲として期待される新外国人ニックの調子もええし、5年目の松山竜平も急成長している。昨年は0-1の完封負け試合が10試合ぐらいあったけど、今年は昨年ほど得点力不足になることはなさそうやな。それよりも今年の広島というのは、隠れた投手王国なんや。ドラ1ルーキーの野村祐輔は間違いなくローテーションピッチャーとして結果を残すやろうし、新外国人のミコライオも通用しそう。2メートルの身長から投げ下ろす150キロオーバーのストレートは威力十分やで。若い選手も多いし、投打が噛み合って勢いに乗れば、優勝戦線に絡むんとちゃうか。

 最後に今年のキャンプ&オープン戦MVPの横浜や。シーズンに入ると、今の戦力を見る限り厳しい戦いを強いられそうやけど、昨年までのように負けるべくして負けたみたいな状況はなくなるんとちゃうか。相手チームはなめてかかると痛い目にあわされるで。それぐらいのチーム改革はできたんじゃないかな。とにかく中畑監督の明るさがチームに浸透して、キャンプの雰囲気は素晴らしかった。元気と明るさというのは、野球には必要なんや。そういう意味で、新加入したラミレスは村田よりも戦力になるはずや。それに投手では国吉佑樹が楽しみだし、野手も荒波翔、梶谷隆幸、石川雄洋といった選手たちを中心に足を絡めた野球が見られると思う。すぐに結果は出ないやろうけど、数年後が楽しみなチームになりそうな予感はあるで。

 今年のセ・リーグは間違いなく巨人が中心になると思うけど、エース前田健太を筆頭に力のある若手投手陣が揃う広島の戦いには注目や。

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