【プロ野球】充実の2年目、斎藤佑樹がブルペンでつかんだ手応え

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

絶対的エース・ダルビッシュ有が抜け、斎藤にかかる期待も大きい絶対的エース・ダルビッシュ有が抜け、斎藤にかかる期待も大きい 彼は、カーテンを開けることはできたのだろうか──。

 2012年2月1日、沖縄県名護市。

 キャンプ初日の練習前、ウォーミングアップの最中、ずっと笑っている斎藤佑樹を見ながら、そんなことを考えていた。

 ちょうど1年前。

 彼はまだ、頑丈な殻の中にいた。

 キャンプの間、ファイターズの選手たちが泊まっているホテルからは、目の前に東シナ海が見える。よく晴れた日の朝、窓にかかったカーテンを開ければ、沖縄の真っ青な空とエメラルドグリーンの海が、疲れた心をわずかでも癒してくれるはずだ。

 しかし、日本中から注目されるゴールデンルーキーとして、大騒動の真っ只中にいた斎藤は、そのカーテンを開けることはできなかった。

「外が見たくないわけじゃない。見たいけど、カーテンを開けたくないんです」

 1年前の彼は、そんなふうに言っていた。

 だから、訊いてみた。

 今朝はカーテンを開けられたのか、と。

 すると斎藤は、ニッコリ笑ってこう言った。

「はい、開けられました」

 斎藤だけではなかった。

 斎藤を取り巻くいろんなものが、この1年ですっかり変わっていた。キャンプ初日、名護に詰めかけたファンや報道陣は激減した。監督は、梨田昌孝から栗山英樹に代わった。海を渡ることになったダルビッシュ有は、同じグラウンドにはもういない。

「去年の柱が抜けて、大切なシーズンになりますから、僕としてはその(開幕投手を巡る)争いに入る段階の前の争いに入らないといけないと思っています。そのために、焦らず、じっくり......去年とはホントに気持ちがまったく変わっていて、何をしたらいいか、しっかりと自分でもわかっている状況なんで、去年以上のものができるかな、今年はちょっとイケるかな、というふうには思ってます(笑)」

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