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36歳の技巧派・菅野智之(ロッキーズ)が残した2年連続2ケタ勝利の価値 パワーピッチ全盛のMLBのなかで (3ページ目)

  • 杉浦大介●取材・文 text by Daisuke Sugiura

【独自の特色を出し、結果につなげた功績】

「(勝ち星がつくことは)責任イニングをしっかり投げているということ。(現代野球では)評価されない数字とはいえ、しっかりイニングは投げられているということだと思うので、悪くはないと思います」

 菅野自身もそう認めているとおり、勝利数は現在のMLBでは必ずしも高評価されるスタッツではない。とはいえ、先発投手は少なくとも5イニングを投げ、自軍をリードに導いておかなければ勝利は手にできないのだから、意味がないとは思えない。多くの先発が早いイニングでマウンドを降りる近年の趨勢を見ればなおさら、先発にとっての勝ち星は再評価されてしかるべきにも感じられる。

 今季ここまで26度の先発機会のうち、菅野が5イニング以上を投げた21試合でチームは14勝7敗。多少の運に左右されてきたのは事実だとしても、ナ・リーグ西地区で最下位に低迷し、すでにポストシーズン進出の望みは絶たれたロッキーズでこれだけの勝ち星を手にしてきたことが単なる偶然とはやはり思えない。

「チームも去年よりはいい成績になっている。その手助けには少しはなれたんじゃないかと思っていますし、そこにやりがいを感じて僕はやってきたので」

 メジャーでの菅野を"勝利の使者"とまで称するのは大袈裟なのかもしれない。それでも毎度の登板でサバイバルを模索し、チームを勝利に近づける術を見つけようとした投球には一風違った趣があった。球速、球威が重要視される現代メジャーリーグに乗り込み、制球力、球種の多彩さ、投球術、マウンド度胸を駆使して挑み続けたオールドファッションな勝負にはスリリングな見応えがあった。

 こんな生き様もある。今後がどうなろうと、たとえ今季限りでアメリカでのキャリアが一段落したとしても、菅野のメジャー挑戦は"成功"と呼んでいいだけの結果を生み出してきたように思えるのである。

著者プロフィール

  • 杉浦大介

    杉浦大介 (すぎうら・だいすけ)

    すぎうら・だいすけ 東京都生まれ。高校球児からアマチュアボクサーを経て大学卒業と同時に渡米。ニューヨークでフリーライターになる。現在はNBA、MLB、NFL、ボクシングなどを中心に精力的に取材活動を行なう

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