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36歳の技巧派・菅野智之(ロッキーズ)が残した2年連続2ケタ勝利の価値 パワーピッチ全盛のMLBのなかで (2ページ目)

  • 杉浦大介●取材・文 text by Daisuke Sugiura

【労使協定交渉が与える想定される影響】

 もちろんすべてが順風満帆なわけではない。NPBでは大エースだった菅野もアメリカでは巨人時代に近い投球ができていないのは確かだ。8月は5試合で1勝4敗、防御率8.61と激しく打ち込まれた。メジャーでの被本塁打は2年で合計62本に達し、球威のなさゆえに痛打されるゲームも見受けられる。

 7月31日まで11勝4敗、防御率4.47という好成績を残しながら、8月3日のトレード期限までに強豪チームからは声は掛からなかった。優勝を狙うチームにとって必要なのは支配的な投球ができる投手であり、いわゆる"イニングイーター(安定して長いイニングを投げ、試合を作る投手)"の菅野はそれほど魅力的に映らなかったということなのだろう。今の立ち位置を考慮すれば、メジャーリーガーとしての将来は必ずしも楽観視できないのかもしれない。

 MLBの労使協定は今オフに期限切れを迎え、選手会とMLB機構の交渉は難航中。12月1日からロックアウトに突入する可能性が極めて高いと見られるなか、多くのFA選手が影響を受けることが予想される。ロッキーズとは1年契約の菅野も、そのなかに含まれるはずだ。

「11月中に契約をまとめられそうな一部のトップ選手以外、今オフのFA選手は不透明な状況に置かれる可能性が高い。今年はキャンプイン直前の2月にロッキーズと契約(基本年俸510万ドル=約7億6500万円)を結んだ菅野も、そのカテゴリーにいるひとり。状況を考えれば、来季はNPB復帰を模索したほうがベターかもしれない」

 米国内で活動する代理人のそんな言葉どおり、ロックアウトが長期化すれば2027年はFA戦線に加え、春季キャンプの開始も遅れることが必至。そんな情勢に加え、菅野の実力評価、年齢などを考慮すれば、確かに日米間で難しい選択を迫られることになっても不思議はない。

 ただし、そんな現在の立ち位置であったとしても、菅野のメジャーでの2年間には価値があったと思える。

 この2シーズン、菅野が負傷者リストに入ったのは背中の痙攣で離脱した今年7月の一度だけ。それ以外の期間は絶えずオリオールズ、ロッキーズの先発ローテーションで投げ続け、2年連続で2ケタの勝ち星を挙げてきた。ロッキーズの一員としての12勝は2021年のヘルマン・マルケス以来、チーム最多タイの数字でもある。

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