【MLB】なぜ打率.227の岡本和真がトロントで絶賛されているのか? 加藤豪将が語るメジャー流評価 (3ページ目)
加藤もアナリストの立場から岡本の成績に太鼓判を押し、打率の低さについてもまったく問題視していない。
「チームとしては、打率はまったく気にしていません。それはメディアもファンも同じです。こっちでは、今は打点もそれほど気にされませんから」
日本では「得点圏打率」によって、その打者がチャンスに強いか弱いかが論じられる。しかし、少なくとも加藤の見解では、打席に立った時に塁上に走者がいるかどうかは、打者自身にはコントロールできないことだ。安打を放った際に走者がいるかいないかによって、打者の力量を測ることに大きな意味はないということだろう。
【OPSで見えてくる岡本和真の存在感】
その一方で、走者がいる場面では、単打よりも長打のほうがより多くの得点につながる可能性が高い。だからこそ長打率が打率以上に重視される。また、得点するためには、そもそも走者が塁に出なければ始まらない。その確率を示す出塁率も、チームが勝利するうえで打者に求められる重要な指標となるわけだ。
このOPSは、一般に.700前後がひとつの目安とされている。現在、岡本のOPSは.728。チームの看板選手であるウラジーミル・ゲレーロJr.の.693を上回っている。打率こそ.227だが、それを補ってあまりある長打力を発揮しているというわけだ。
かつて、日本人打者がメジャーへ渡れば、まず問われたのは「日本と同じように打てるのか」だった。打率が下がれば苦戦とされ、本塁打が減れば「やはりメジャーの壁は厚い」と評された。しかし、岡本のルーキーシーズンを見ていると、そんな見方もそろそろ変える必要があるのかもしれない。
打率.227という数字だけを切り取れば、決して華々しい成績には映らない。それでも24本のアーチを描き、OPSではチームの主力を上回り、なにより打席に立つたびにロジャーズセンターから大きな拍手を浴びている。その光景こそが、岡本がこの街でどんな存在になったのかを何より雄弁に物語っている。
岡本は、もはや「メジャーに挑戦する日本人」ではない。33年ぶりの世界一を夢見るトロントで、その行方を左右するひとりの主役として戦っている。
著者プロフィール
阿佐 智 (あさ・さとし)
これまで190カ国を訪ね歩き、22カ国で野球を取材した経験をもつ。各国リーグともパイプをもち、これまで、多数の媒体に執筆。国内野球についても、プロから独立リーグ、社会人野球まで広くカバー。数多くの雑誌、ウェブサイトに寄稿している。2011、2012アジアシリーズ、2018アジア大会、2019侍ジャパンシリーズ、2020カリビアンシリーズなど国際大会取材経験も豊富。
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