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【MLB】「グラブのせいにするな」 ヌートバーを変えたイチローの言葉 新ルーティンが生んだ驚きの変化 (2ページ目)

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton

 それまでヌートバーは、日々のルーティンにグラブの手入れを組み込んではいなかった。決して怠けていたわけではない。若い選手にとっては、メジャーの厳しい競争を勝ち抜くために、練習やトレーニングに多くの時間を費やしており、道具のケアまで十分に手が回らないことも珍しくない。

【イチローと名捕手の共通点】

 だが、イチロー氏のスピーチを何度も見て、さらに本人から直接話を聞いたことで、ヌートバーの脳裏にある記憶がよみがえった。

「ヤディも同じことをやっていました」

「ヤディ」とは、カージナルス一筋で19年間プレーし、「史上最高の捕手」のひとりとも称されるヤディアー・モリーナである。2022年限りで現役を引退したが、ヌートバーはその最後の2年間をともにプレーした。

「ヤディといえば守備ですよね。でも、僕のなかで一番印象に残っているのは、守備で見せたスーパープレーではありません。試合が終わるたびに、ロッカーの前で必ずグラブの手入れをしていた姿なんです。

 そして、イチローさんからその意味を丁寧に教えてもらった時、頭の中で電球が灯ったような感覚になりました。『イチローさんもヤディも、偉大な選手には共通点があるんだ』と気づいたんです」

 そして、もうひとつの共通点が、守備の名手に贈られるゴールドグラブ賞である。

 イチローは10度、モリーナは9度、ゴールドグラブ賞を受賞している。その卓越した守備を支えていたのが、日々欠かさなかったグラブの手入れだった。

 それまで年間に数えるほどしかグラブの手入れをしてこなかったヌートバーは、「これからは毎日やる」と心に決めた。

 アトランタで目にしたあの光景は、その決意が口先だけではなかったことを物語っていた。シーズンが折り返しを迎えた今も、その習慣は一日も欠かさず続いているという。

【日々の積み重ねが生んだファインプレー】

 そして、その効果を早くも実感している。

 6月15日のサンディエゴ・パドレス戦。カージナルス先発のダスティン・メイは、7回の先頭打者を迎えるまで、ひとりの走者も出さない完璧な投球を続けていた。そのパーフェクト投球を支えたのが、5回にヌートバーが見せたファインプレーだった。

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