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「人のためでもあるけど自分のためでもある」 大塚晶文が語るチャリティ活動を行なう意義 (4ページ目)

  • 加藤潤●文 text by Kato Jun

 ここに挙げた5人のようなOBが、今後さらに増えていくことを期待したい。彼らは、これから善行を行なおうとする若者たちの背中をしっかりと押してくれるだろう。福が浴びた心ない言葉を、未来の若者たちが受ける理由はない。

 他者が抱える問題を自分のこととして捉え、行動する。この章に登場した選手たちに共通する姿勢だ。その態度は、クレメンテがニカラグアの人々に寄り添ったものと何ら変わらない。クレメンテの妻、ベラはこう語っている。

「私たち夫婦がニカラグアを訪れた時、感じたのは『彼らは30年前の私たちプエルトリコ人だ』ということでした。子どもたちは裸足で通りを歩き、家族全員がひとつ屋根の下で暮らしている。ロベルトは、過去の自分を彼らのなかに見出したのです」

 クレメンテは悲劇のなか、その生涯を閉じた。しかし、本人たちが意識していなくとも、クレメンテの意思と共鳴し、彼の歩んだ道を進む選手たちが日本にもいる。課題はある。それでも、彼に続く者は確実に増え続けている。

 神様は、いる。

つづく>>


ロベルト・クレメンテ/1934年8月18日生まれ、プエルトリコ出身。55年にピッツバーグ・パイレーツでメジャーデビューを果たし、以降18年間同球団一筋でプレー。抜群の打撃技術と守備力を誇り、首位打者4回、ゴールドグラブ賞12回を受賞。71年にはワールドシリーズMVPにも輝いた。また社会貢献活動にも力を注ぎ、ラテン系や貧困層の若者への支援に積極的に取り組んだ。72年12月、ニカラグア地震の被災者を支援する物資を届けるため、チャーター機に乗っていたが、同機が墜落し、命を落とした

著者プロフィール

  • 加藤 潤

    加藤 潤 (かとう・じゅん)

    1974年生まれ。東京都出身。中日ドラゴンズ通訳。北海道日本ハムファイターズで通訳、広報、寮長に就いたのち、2011年から現職。シーズン中は本業をこなしながら、オフには海外渡航。90ヶ国を訪問。稀に文章を執筆。過去にはスポーツナビ、中日新聞、朝日新聞デジタル版に寄稿。またコロンビアのTV局、テレメデジンとテレアンティオキアに話題を提供。現地に赴き取材を受ける

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