中田翔、小笠原慎之介、福敬登が示す「野球人の使命」とチャリティ活動の舞台裏 アフリカ支援からヘアドネーションまで (4ページ目)
ヘアドネーションを行なう人のなかで、男性の割合はわずか2%とも10%とも言われており、女性に比べて圧倒的に少ない。それでも福は、髪を失った男の子たちが、ほんの少しでもおしゃれを楽しみ、笑顔になれるのならと、髪を伸ばし続けた。
「調子に乗ってんな! 髪の毛剃れ、いま!」など、悪意ある言葉を投げかけられても、ある時は受け流し、またある時は耐えた。
「正直言うと、きついですよ。でも、わかってもらえない人に何を言っても仕方ないし、不毛です。だから、何も言わずに黙って耐えています。僕の好きな言葉に『やらない善より、やる偽善』っていうのがあります。なんでも、やってみなきゃわからない。自分の人生のなかで、ゼロからイチをどれだけ生み出せるか。それが大事なんだと思います」
ロベルト・クレメンテ/1934年8月18日生まれ、プエルトリコ出身。55年にピッツバーグ・パイレーツでメジャーデビューを果たし、以降18年間同球団一筋でプレー。抜群の打撃技術と守備力を誇り、首位打者4回、ゴールドグラブ賞12回を受賞。71年にはワールドシリーズMVPにも輝いた。また社会貢献活動にも力を注ぎ、ラテン系や貧困層の若者への支援に積極的に取り組んだ。72年12月、ニカラグア地震の被災者を支援する物資を届けるため、チャーター機に乗っていたが、同機が墜落し、命を落とした
著者プロフィール
加藤 潤 (かとう・じゅん)
1974年生まれ。東京都出身。中日ドラゴンズ通訳。北海道日本ハムファイターズで通訳、広報、寮長に就いたのち、2011年から現職。シーズン中は本業をこなしながら、オフには海外渡航。90ヶ国を訪問。稀に文章を執筆。過去にはスポーツナビ、中日新聞、朝日新聞デジタル版に寄稿。またコロンビアのTV局、テレメデジンとテレアンティオキアに話題を提供。現地に赴き取材を受ける
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