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コスタリカの避難民兄弟が語った野球文化への誇り 祖国ニカラグアに今も息づくロベルト・クレメンテの精神 (4ページ目)

  • 加藤潤●文 text by Kato Jun

 前言撤回。やはり安全というわけではなさそうだ。白昼堂々、街中でひき逃げだ。

「この国では救急車はタダじゃないんだ。呼ぶだけで150ドルの支払いが必要なんだよ。今、デポジットを払ったところだ。じき救急車が来るはずだ」

 見ず知らずの赤の他人のためにそこまで尽くすとは、まさにクレメンテイズムそのものだね。そう言うと、ポラス氏は少し照れくさそうに答えた。

「いや、そんな大それたものじゃないよ。ただ、誰かが彼女を助けないと。放っておけないからね」

 救急車の手配がひと段落したころを見計らい、応接室で話を始めた。

つづく>>


ロベルト・クレメンテ/1934年8月18日生まれ、プエルトリコ出身。55年にピッツバーグ・パイレーツでメジャーデビューを果たし、以降18年間同球団一筋でプレー。抜群の打撃技術と守備力を誇り、首位打者4回、ゴールドグラブ賞12回を受賞。71年にはワールドシリーズMVPにも輝いた。また社会貢献活動にも力を注ぎ、ラテン系や貧困層の若者への支援に積極的に取り組んだ。72年12月、ニカラグア地震の被災者を支援する物資を届けるため、チャーター機に乗っていたが、同機が墜落し、命を落とした

著者プロフィール

  • 加藤 潤

    加藤 潤 (かとう・じゅん)

    1974年生まれ。東京都出身。中日ドラゴンズ通訳。北海道日本ハムファイターズで通訳、広報、寮長に就いたのち、2011年から現職。シーズン中は本業をこなしながら、オフには海外渡航。90ヶ国を訪問。稀に文章を執筆。過去にはスポーツナビ、中日新聞、朝日新聞デジタル版に寄稿。またコロンビアのTV局、テレメデジンとテレアンティオキアに話題を提供。現地に赴き取材を受ける

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