【MLB】佐々木朗希は1年間フルで戦えるか? 五十嵐亮太が考察するドジャースの「起用プラン」 (4ページ目)
── 決して、現状維持で満足せずに、さらなるアップデートを図ろうとしているんですね。
五十嵐 だから、投げるボールは大きくは変わらないけれども、新たなピッチングスタイルを模索しているんでしょうね。去年はスライダーの割合がそんなに多くなかったけど、たぶん今年はスライダーの割合は多くなるはず。ストレートを生かすために、他の球種を使って、どうやって見せていくかというところが大事になっていくでしょうね。だから、去年と同じようなピッチングにはならないし、去年とは違う新しい今永が見られると思います。
── カブス・鈴木誠也選手の印象はいかがでしたか?
五十嵐 本人としてはDHではなく、きちんと守備にもついて、「守りながら打ちたい」と考えていると思うんです。でも、カイル・タッカーが加入したことで、鈴木はDHで起用される可能性が高いと思いますね。レッドソックスの吉田正尚もそうだけど、DHとなるとやっぱり長打が求められますよね。その影響もあるのか、今年はスイングの軌道をちょっと変えるという、去年とは違うアプローチをやっていましたね。本人は「状態、意識はよくなってきている」と言っていたので、「今年は長打が増えるのかな」という気がします。開幕カードでは彼のスイング、打球に注目したいですね。
── 駆け足で日本人選手について振り返りましたが、本番も近づき、ますます楽しみになってきましたね。
五十嵐 メジャーリーグの開幕戦を日本で見ることができるのは本当に幸せだし、本当にすごいこと。僕も解説させてもらうけど、日本にいながらにしてアメリカを感じることができるこの機会を心から楽しみたいと思います。
五十嵐亮太(いがらし・りょうた)/1979年5月28日、北海道生まれ。千葉・敬愛学園から97年ドラフト2位でヤクルトに入団。プロ2年目の99年にリリーフとして頭角を現し、一軍に定着。04年はクローザーとして37セーブを挙げ、最優秀救援投手賞のタイトルを獲得。09年オフにメジャー挑戦を表明し、メッツと契約。12年はブルージェイズ、ヤンキースでプレーし、13年にソフトバンクと契約し日本球界復帰。18年オフに戦力外となるも、ヤクルトと契約。19年は45試合に登板したが、20年10月に現役引退を表明。現在は解説者として活躍している。
著者プロフィール
長谷川晶一 (はせがわ・しょういち)
1970年5月13日生まれ。早稲田大学商学部卒。出版社勤務を経て2003年にノンフィクションライターとなり、主に野球を中心に活動を続ける。05年よりプロ野球12球団すべてのファンクラブに入会し続ける、世界でただひとりの「12球団ファンクラブ評論家(R)」。主な著書に、『詰むや、詰まざるや 森・西武 vs 野村・ヤクルトの2年間 完全版』(双葉文庫)、『基本は、真っ直ぐ──石川雅規42歳の肖像』(ベースボール・マガジン社)、『いつも、気づけば神宮に 東京ヤクルトスワローズ「9つの系譜」』(集英社)、『中野ブロードウェイ物語』(亜紀書房)、『名将前夜 生涯一監督・野村克也の原点』(KADOKAWA)ほか多数。近刊は『大阪偕星学園キムチ部 素人高校生が漬物で全国制覇した成長の記録』(KADOKAWA)。日本文藝家協会会員。
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