【MLB】投手・大谷翔平はどう進化しているのか? 五十嵐亮太が語る新スタイルの全貌 (2ページ目)
── 大谷選手の左肩の故障は盗塁によるものでしたが、走塁についても気づいたことがあるそうですね。
五十嵐 走塁に関して言うと、「左手をつかない」という意識は徹底していました。ワールドシリーズでの盗塁の際に左手をついてケガをしてしまった。だからこそ、そのリスクを減らすという意識。その点はやっぱりプロ意識ですよね。決して「リスクがあるから走らない」とか「滑らない」というわけではない。
ただ、盗塁に関しては、今年は投手起用の機会も増えるはずだから、「去年よりも数は減るだろう」と言われていますよね。それでも行けるときはしっかりトライする。ケガを防ぐための工夫もする。自分ができる範囲内で何ができるかっていう、このスタンスが大谷選手らしいなっていうのはすごく感じましたね。
【ツーシーム&カットボールを多投する理由】
── 一方、気になる投手としての調整はいかがでしたか?
五十嵐 ブルペンでのピッチングを見ていると、ツーシーム、カットボールが目立ちましたね。投手として試合に出ていた2023年のデータを見ると、これらの変化球は割合としては非常に少ないボールでした。でも、キャンプの段階でこれらのボールを最初に投げた理由はどこにあるのか? ツーシームもカットボールも、いずれも小さい変化球です。つまり、ピッチングフォームをそこまで変えなくても、ストレートと近い投げ方ができるんです。
── スライダーやスイーパーの場合はピッチングフォームも異なってくる?
五十嵐 そうです。たとえばスライダーとかスイーパーとか、スプリットとなるとやっぱりピッチングフォームについて、ストレートとの違いが生まれてきます。でも、カットとかツーシームだとストレートのフォームに近い状態で投げ込んでいくことができる。それは、フォームを固めていく上でも最適なんです。でも、ツーシームやカットボールを多投していたのは、もう一つ考えられる理由があります。
2 / 4