大谷翔平vs.ジャッジが2028年オリンピックの舞台で!? MLBで盛り上がるメジャーリーガー五輪出場の気運と公式戦日程の障壁 (2ページ目)

  • 奥田秀樹●取材・文 text by Okuda Hideki

【ロバーツ監督とオリンピックの縁】

 ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は、2028年のロサンゼルス五輪にトッププレーヤーを送ることに「賛成」と、語気を強めて筆者に明言した。

「すばらしいアイデアだと思う。私たち球界の人間がこれまでに行なってきたことはすべて、野球というゲームを成長させ、より多くの人々に観てもらうためだ。オリンピック以上の大舞台はない。その舞台で、MLBのスーパースターが母国を代表してプレーするチャンスを得ることはとても理にかなっている」

 MLBは近年、世界に野球を普及させるためにかつてない努力を続けている。今年3月に大谷のドジャースとダルビッシュ有のサンディエゴ・パドレスがぶつかったソウル・シリーズが開催され、6月にはフィリーズとメッツのロンドン・シリーズがあり、ほかにメキシコとドミニカでも試合を行なった。2025年もドジャースとカブスが日本で開幕シリーズを戦う。それはそれですばらしい企画だが、オリンピックにベストプレーヤーを送り込むインパクトにはかなわない。ロバーツ監督も同じように感じている。

 前回のロサンゼルス五輪が開催された1984年、ロバーツ監督は、サンディエゴ(ロサンゼルスから南に車で3時間)に住む12歳の少年だった。

「隣町でのオリンピックをとても興味を持って見ていた。カール・ルイスが金メダルを4つ獲得したこと、また、開会式の盛り上がりを特に覚えている。私は夏のオリンピックが大好きで、今はロサンゼルスに住んでいるので、2028年にはオリンピックが私の町にやってくるのがとてもうれしい」

 ちなみに2000年のシドニー五輪、アメリカは決勝でキューバを4対0で破り、これまでで唯一の金メダルを獲得している。この時、野球では初めてプロ選手の参加が認められたが、MLBはマイナーリーガーしか送らず、若き日のロイ・オズワルト投手(MLBで2年連続20勝)やベン・シーツ投手(MLBで7シーズン2ケタ勝利)がチームをけん引した。ロバーツ監督も当時クリーブランド・インディアンズ傘下のマイナーリーガーで、五輪の出場権を得た1999年のパンアメリカン大会(カナダ開催)ではチームUSAの一員だった。

「私たちはこの大会で準優勝して、シドニー五輪の出場資格を得た。アメリカ代表で出たことは私にとって大変な興奮だった。オリンピックには出られなかったけど、参加できていたらすばらしかったと思う」と振り返っている。

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