大谷翔平のメジャー通算200号本塁打で話題の「ベストな1発」脅威の一撃を浴びた右腕は「あのレポートはなんだったんだ?」と嘆いた (2ページ目)

  • 杉浦大介●取材・文 text by Sugiura Daisuke

【セベリーノが被弾から得た教訓】

 セベリーノの言葉どおり、2018年の大谷はオープン戦では打率.125と苦しんだ。現地の一部メディアからは「まずはマイナーで起用すべき」と、今考えれば信じられない声も上がっていた。2018年にヤンキースのエースとして19勝(8敗)を挙げ、平均球速97.6マイル(約156キロ)をマークした右腕の元に、「インコースに投げておけば大丈夫」というレポートが届いていたとしても不思議はない。

 しかし、開幕後に別人のようになった大谷は、4月3日から3試合連続で本塁打を放つなど活躍し始める。セベリーノも、その打棒の餌食となってしまった。開花の要因としては、環境への適応、ノーステップ打法の成功などが挙げられるだろう。ともあれあの被弾は、メジャーで存在感を放ち続けているセベリーノの重要な教訓になったという。

「あの速球はいい球だった。それに対し、大谷はすごいスイングをした。振り返ってみれば、本当にいい経験だったと思う。『コンピューターの数字が常に正しいわけではない』と身に染みてわかったから(笑)。人間は成長するし、対応できるようになる。だからこちらも適応しなければいけない。以降、大谷に対してはいい投球ができているはずで、あれが唯一のミステイクだよ」
現在はメッツで活躍するセベリーノ photo by 杉浦大介現在はメッツで活躍するセベリーノ photo by 杉浦大介この記事に関連する写真を見る
 実際にその後、セベリーノは大谷にはホームランを1本も許していない。2度目の対戦以降は5打数2安打、1三振1四球と決して抑えているとは言えないものの、許容範囲ではある。内外角の両方を慎重に使い、同様の攻め方を繰り返さないことが基本になった。

「速球にしろ、チェンジアップにしろ、大谷に対してはアウトサイド中心に投げるようになった。インサイドに真っすぐも投げるけど、どちらかといえば"見せる"ため。甘く入ると、クイックなスイングで打たれてしまう。いい打者だよ。

 あとは、ひとつの打席内で同じコースに同じ球を投げないこと。異なる球を混ぜて勝負することが重要になる。追い込んで、(ボール球を)追いかけさせるのがベストかな」

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