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大谷翔平はイチロー以来の「MVP」獲得なるか? 日本人投手・打者が歩んできたMLBオールスターの軌跡 (3ページ目)

  • 宇根夏樹●取材・文 text by Une Natsuki
  • photo by AFLO

【打点も盗塁もイチローのみ】

 野手に関しては、イチローの独壇場だ。10試合に出場し、26打数8安打。なかでも、2007年は3打数3安打を記録した。1回表と3回表のシングルヒットに続き、5回表にはランニング本塁打を打った。

 オールスターゲーム史上、ランニング本塁打は皆無だ。サンフランシスコ・ジャイアンツの本拠地AT&Tパーク(現オラクル・パーク)の特殊な形状により、打球が思わぬ方向へ転がったのも要因だが、イチローのスピードがなければホームランにはなっていなかっただろう。イチローはこの試合のMVPに選ばれた。

 イチローが打点を挙げたのは、この2007年と2年前(2005年)の2度だ。どちらも2打点ずつ。2005年は、シングルヒットで2者を生還させた。長打もランニング本塁打が初めてではなく、2004年に二塁打を打っている。さらに2001年は盗塁、2008年は補殺を記録した。後者は、二塁打を狙ったアルバート・プホルスをライトからの送球で刺した。

 オールスターゲームのMVPはもちろん、打点、長打、盗塁、外野補殺のいずれも、日本人選手ではイチローしか記録していない。

 ちなみに2002年のオールスターゲームで、イチローは名場面を最も間近で目にした。バリー・ボンズが打ったホームランとなるはずの打球を、トリー・ハンターがジャンプしてキャッチした際、イチローはハンターのすぐ横にいた。

 この時、ハンターはセンター、イチローはライトを守っていた。あらためて映像を確認すると、イチローも打球に向かって走っているが、ハンターの動きが見えたのだろう、スピードを落とし、捕球位置に入るのをハンターに譲っているように見える。

 彼らのポジションが逆であれば、ホームランをもぎ捕り、ボンズに担ぎ上げられたのは、ハンターではなくイチローだったかもしれない。ボンズは、次の打席でホームランを打った。

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