連敗を止めた大谷翔平も「呪い」にかかっていた? エンゼルスの「負の連鎖」を表す悲惨なデータの数々 (3ページ目)

  • 澤良憲●取材・文 text by Sawa Yoshinori
  • photo by AP/アフロ

トラウトら打者たちも急失速

 そこに打撃力の低下が加わったことが、さらに拍車をかけた。5月上旬は得点、本塁打、長打率、OPSでMLBトップだったが、連敗中は極度の得点不足に悩まされた。たとえば、5月31日からのニューヨーク・フィラデルフィアでの6連戦では、43失点に対して12得点しか挙げられていない。スポーツメディア『ジ・アスレチック』でエンゼルスを担当するサム・ブラム記者は、6月9日にSNSで、「エンゼルスは(6月8日までの)8試合でたった1本塁打しか出ていない」という事実を投稿した。

 レギュラー野手、アンソニー・レンドンとテイラー・ウォードの故障者リスト入りが大きな負担となった。特にウォードは5月17日時点で、打率.376、出塁率.484、長打率.733、OPS1.217をマークし、各部門MLB1位の打撃4冠。ところが、5月20日にライトフェンスにぶつかり右肩を負傷。復帰後6試合27打席で打率.167、出塁率.259、長打率.333と低迷しはじめ、6月5日に「右ふととも裏の張り」で10日間の故障者リスト入りとなった。

 残った主軸もほぼ同じタイミングでスランプに陥った。主砲マイク・トラウトは、自己キャリアワーストの26打席無安打というスランプに陥っていた。前出の『ファングラフス』は、「連敗が始まる前は、wRC+(打席あたりの得点創出できるかを計る指標。平均的な打者の数値は100)が221だったトラウトは、マドン解任前の12試合49打席で、打率/出塁率/長打率をそれぞれ114/.204/.205を記録」と、その悪化具合を紹介している。

 悪いことはさらに続く。6月7日の試合途中で、トラウトは「左股関節の張り」を訴えて途中交代。この日、第1打席で念願の14号2ランを放ったばかりだった。幸い故障者リストには入らなかったものの、トラウトはその日以降、欠場中だ。

 頼みの綱の大谷も、本拠地でのトロント・ブルージェイズ戦(5月29日)での2打席連続本塁打を最後に快音が出ていなかった。大谷は8日までに5試合連続安打を記録したが、いずれも得点にはつながらず。トラウト離脱前の6日には、地元紙『ロサンゼルス・タイムズ』のマイク・ディジョヴァンナ記者が、「オオタニとトラウトの打順を変えるべき」と提言。同記者は続けて、「オオタニは、トラウトの前では四球で歩こうとするメンタリティが強いように見える。彼はあまりに受動的である。もっと積極的にスイングして打ってもらわないと」と苦言を呈した。

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