連敗を止めた大谷翔平も「呪い」にかかっていた? エンゼルスの「負の連鎖」を表す悲惨なデータの数々 (2ページ目)

  • 澤良憲●取材・文 text by Sawa Yoshinori
  • photo by AP/アフロ

先発とリリーフ陣が一気に崩壊

 しかし、わずか2週間でエンゼルスがここまで転落するとは誰も予想できなかった。現地メディアは低迷の原因を探り、さまざまな理由を挙げた。たとえば、「東海岸のチーム(トロント・ブルージェイズ、ニューヨーク・ヤンキース、フィラデルフィア・フィリーズ、ボストン・レッドソックス)と当たってしまったことが原因だ」という見方もあれば、解任されたマドン監督の采配も取り上げられている。

 さらに、『ロサンゼルス・タイムズ』からは「(本拠地のある)アナハイム前市長の呪いだ」という意見も出ている。記事によれば、エンゼルスの連敗が始まった5月24日は、エンゼルスの本拠地の土地売却を巡る不正疑惑が発覚して、その話が頓挫された日でもある。この疑惑に関わったとして、アナハイムのハリー・シドゥー市長はその前日に辞任した。

 このような眉唾モノの話は別として、現地メディアから特に指摘されているのは、「投手陣の崩壊と打撃力の低下が同時に起こったこと」だ。

 フレッチャー記者は投手陣の崩壊について、SNSでの投稿で「エンゼルスの負け方は主に2パターンある」といい、「先発による序盤の大量失点とリリーフ陣の崩壊だ」と指摘している。特にリリーフ陣の崩壊は著しく、「12連敗中、7回、またはそれ以降に逆転された試合は5つもある」と言及。同じような指摘は、データ分析サイト『ファングラフス』からも出ており、次のように述べられている。

「マドン解任前の12試合で、先発陣の防御率は6.88とFIP(守備が関与しない与四球、奪三振、被本塁打のみで評価する指標)は5.50を記録。先発ローテーション(6人)の平均投球回数はわずか4.5回で、与四球と被本塁打の比率も高くなった。リリーフ陣もよくはなく、防御率は5.88、FIPは5.10となった」

 米スポーツ誌『スポーティングニュース』は5月13日、「エンゼルスはついにファンに(プレーオフ進出を)信じる理由を与えた」という記事で、「(大谷を含めた)先発投手陣がしっかりと失点を抑えているのも見逃せない」と述べていた。フレッチャー記者もそれには同意しており、「(序盤の)投手陣は期待どおり、もしくはそれ以上の活躍をしていた」とも話していた。ところが、この連敗でチーム防御率はリーグ29位の6.40に悪化。先発投手陣とリリーフ陣の両方が一気に崩壊したことが、低迷の大きな原因になった、と見られている。

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