筒香嘉智は「自動的にアウトになる」と地元ピッツバーグでも失望の声。低迷の理由は「打球の方向」に表れている (2ページ目)

  • 澤良憲●取材・文 text by Sawa Yoshinori
  • photo by スポニチ/アフロ

ボールを引っ張る確率が減少

 5月18日、敵地でのシカゴ・カブス戦後、筒香はついに「今年は本当に『なんでだろう』というくらい、いい当たりが正面に飛ぶことが多い」という自身の悩みを明かした。いったい、筒香の打撃に何が起こっているのか。パイレーツの地元紙『ピッツバーグ・ポスト・ガゼット』は、4月19日と5月2日の2度にわたり、筒香の問題点を洗い出している。

 4月19日に挙げられたのは、「打球速度と打球角度の低下」だ。記事では次のように述べられている。

「(筒香は)昨季から平均打球速度が時速4.9マイル(約7.8キロ)遅くなり、打球角度は1.9度も低下している。それに伴い、今季のバレル内(ヒットになりやすい理想の打球速度と角度)での打撃確率はたったの2.1%、ハードヒット(初速が95マイル、約152キロを超える打球)は4.8%と低迷している」

 打撃不振が続く理由はそれだけではなさそうだ。記事にはこうも書かれている。

「ボールを引っ張る確率は昨季の35.6%から今季は14.3%にまで減少している」

 この指摘は、同紙の5月2日の「筒香には何が起こっているのか、どうすれば修正できるのか」という記事でも真っ先に取り上げられ、次のように述べられている。

「第一に、筒香はボールが引っ張れていない。(5月2日時点で)、プルフィールド(左打者の場合のライト方面)への打球は19.6%で、キャリア平均32.6%から半減している。筒香がここまで打った安打12本のうち11本は2塁よりも左側に飛んでいる。本来、左打者である筒香のパワーはライト方向に向けられるはずだ」

 それを証明するように、今季の第1号本塁打は左中間スタンド方向に入った。『ピッツバーグ・ポスト・ガゼット』によれば、「昨季、筒香が放った8本塁打のうち左中間スタンド方向への本塁打は1本だけ」という。筒香の打球方向はどうして変わったのか。その原因は、「スイングの遅れ」にあるようで、この修正が復活の大きなカギとなることを次のように述べている。

「理論的に言えば、今季の筒香は、ボールを本来のコンタクトポイントよりも少し後ろで当てている。パイレーツは彼のスイングを戻すため、無駄な動きを排除させる努力をさせています。腕ではなくコア(体幹)を使い、スイング軌道を短くし、バットを前に出すことができれば、彼の求めている修正につながるだろう。かみ合い始めれば、彼はこれまで以上によくなるだろう」

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