開幕投手のダルビッシュ有「もう投げられる準備はできている」。5年ぶりに「10勝の壁」を超えられるか (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by Getty Images

2017年を最後に遠ざかる10勝

 シーズン後半に負ったケガと直接関係があるかはわかりませんが、現地アメリカでの報道では「メカニック」いわゆる投球動作に問題があったと言われています。速球の平均時速は94.9マイル(約152.7キロ)から94.1マイル(約151.4キロ)に低下。スライダーはストライクゾーンの高目に浮くようになり、シーズン終盤はスライダーに対するバッターの長打率が.580まで上昇しました。

 9月13日のサンフランシスコ・ジャイアンツ戦では、先発で4イニングを投げて6安打8失点。初回に先頭打者弾などいきなり5失点し、4回にも2本塁打を許すなど1試合で4被弾も食らっています。現地メディアは「彼の狙うスポットにボールが行かなかった」と解説し、本人も「全体的にコントロールが散らばって(相手が)甘い球を待っていた感じ」と振り返り、4年ぶりの10敗目を喫しました。

 2012年のメジャー1年目から3年連続でふたケタ勝利を記録し、2017年はシーズン途中のロサンゼルス・ドジャース移籍後も勝利を重ねて2チーム合計で10勝をマーク。しかし2018年以降、ダルビッシュ投手はシーズンふたケタ勝利から久しく遠ざかっています。

 再起を期す今シーズン、ダルビッシュ投手が再び「10勝の壁」を超えるためには、まずはベストコンディションを取り戻すことが第一でしょう。

 オフ期間とロックアウト中、ダルビッシュ投手は治療とトレーニングに専念していたとのこと。パドレス公式サイトは「(労使紛争でキャンプインが1カ月遅れの)奇妙なオフに、腰痛のリハビリ、ケガを防止するための投球フォームの改造など、まさに彼にとって必要な調整ができている」と報じていました。

 3月14日のキャンプ初日から軽快な動きを見せていたので、順調にコンディションを取り戻しつつあるようです。キャンプでマウンドに立った姿も堂々としたもので、オープン戦でのピッチングも開幕投手にふさわしい内容でした。

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