ダルビッシュ有、最多勝へ有利な条件多数。変則シーズンが追い風となる (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO


 ア・リーグとの交流戦でも、同じ恩恵を受けます。2年連続100勝以上を挙げている東地区のヤンキースや、メジャー最多107勝をマークした西地区のヒューストン・アストロズといった優勝候補とも戦わないのです。

 近年の中地区は、両リーグとも東・西地区に比べてレベルが低い傾向にあります。これは、カブスにとって大きなアドバンテージでしょう。

 カブスの試合日程を見てみると、それは明らか。昨年93敗のピッツバーグ・パイレーツ、103敗のカンザスシティ・ロイヤルズ、114敗のデトロイト・タイガースと、60試合のうち17試合も組まれています。

 また、中地区は北米五大湖地方周辺にチームが集まっているので、遠征のための移動距離が短く、肉体的にも精神的にも負担が軽くなるメリットもあります。

 中地区のなかでもカブスはとくに短く、移動距離はメジャーで2番目に短い4071マイル(約6550キロ)。メジャーで最も長いテキサス・レンジャーズの14706マイル(約23662キロ)と比べると、その差は歴然です。コロナ禍において、移動による安全面の不安が多少なりとも軽減するのは大きいでしょう。

 昨年、ダルビッシュ投手のシーズン最初の2カ月間は防御率5.02、と、決していい成績ではありませんでした。しかし8月・9月の2カ月は防御率2.97。さらに調子のバロメーターのひとつである奪三振と与四球の数字も、73奪三振→88奪三振、41与四球→5与四球と、見違えるようによくなりました。

 なぜ、急激に成績が上がったのか。それは、ダルビッシュ投手の専任捕手となったビクター・カラティニの存在が大きいと思います。

 カブスにはウィルソン・コントレラスという、2年連続オールスターに先発出場したリーグを代表する正捕手がいます。しかし、ダルビッシュ投手がコントレラスとバッテリーを組むと、昨年8試合で防御率6.00、通算でも16試合で防御率5.47とよくありません。

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