野茂英雄の記録を田中将大は追い抜けるか。絶滅寸前の「完封勝利」 (4ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 最近はその傾向がさらに加速し、昨年はわずか45完投しかなく、そのうち完封は26。つまり、完封する投手は1シーズン各30球団にひとり出るか出ないかの割合なのです。いまや完封投手は絶滅危惧種と言えるでしょう。

 このような状況だけに、日本人投手が今のメジャーで完封するのは非常に高い壁だと言わざるを得ません。しかしながら、ヤンキースの田中投手には野茂投手の記録を抜く可能性を感じています。

 前述のとおり、現在は野茂投手の半分にも満たない4完封。ただし、田中投手は2017年から3年連続で完封勝利を挙げているのです。

 とくに強烈なインパクトを残したのは、2017年4月27日に敵地フェンウェイ・パークで行なわれたレッドソックス戦。宿敵の強力打線を相手に、わずか97球での完封劇は圧巻でした。

 近年のメジャーは各チームとも強力なリリーフ陣を揃える傾向が強いので、先発投手は球数を抑えないとすぐに交代させられます。今のメジャーで完封勝利を挙げるためには、すばらしいピッチングをすればいいだけでなく、少ない球数で相手を打ち取るという新たなミッションも加わりました。

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