ロボット審判導入で話題。アメリカ独立リーグの選手給料とレベルは? (2ページ目)

  • 宮寺匡広●文 text by Miyadera Masahiro
  • photo by AP/AFLO

 私自身はルーキーリーグ級から2A一歩手前ぐらいのリーグに所属していた。ルーキーリーグレベルだと、20歳前後の選手が多く、プレーも荒い。球場も数百人座れる程度の観客席しかなかったり、整備が行き届いておらず、荒れ地のようなグラウンドが使われていたりする。

 最も薄給と言われるペコスリーグは、月々200~400ドル(約21000円~42000円程度)の給料で、2カ月半で70試合をこなす過密スケジュールだ。遠征になると小さなバンで10時間移動したあと、すぐに試合ということもある。経費削減のため、遠征先のホテルでは2人部屋を4人で使い、ベッドは2人で1台という過酷なリーグだった。

 その上にいくと、1Aレベルの中堅リーグが存在する。代表的なリーグがカリフォルニア州北部で展開されているパシフィック・アソシエーションリーグだ。私の現役時代は、このリーグに所属している期間が一番長かった。

 ここでは、1週間に6試合をこなし、3カ月で80試合弱のスケジュールが組まれている。観客は多い時は1000人以上入るが、平均的には200~300人といったところだ。選手の平均給料は月500ドル(約53000円)ほどで、活躍すると1000ドル(約105000円)以上もらう選手もいた。

 この程度の給料でやっていけるのかと思う人も多いと思うが、選手の住居は球団が用意してくれた地元のホストファミリーにお世話になり、食事も毎試合後に球団から用意してもらえるので、とくに贅沢しなければ、問題なく生活できる。

 試合が始まるのは、毎日夕方18時または19時からがほとんど。選手たちは試合前練習やグラウンド整備などのため、5、6時間前に球場に来て準備を始める。どこかに出かける時間や余裕もなく、シーズン中は野球漬けの日々を送っているため、出費は抑えることができた。

 スポンサー集めや集客などの経営戦略で成功しているリーグでは、選手の給与水準も高くなり、それに比例して競技レベルも高くなる。設備投資にも力を入れることができ、いい選手の獲得と観客動員を増やす相乗効果が期待できるのだ。

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