大谷翔平は新人王に相応しい。
ライバルとの差を示す驚異のスタッツ (2ページ目)
――今季は他にもすばらしい実績を残したルーキーが存在しますが。
「最大のライバルと目されているのはアンドゥハーですね。アンドゥハーも70本以上の長打とア・リーグ新人記録の二塁打を放ち、全ルーキーの中で最多の27本塁打を打ちました。打撃成績は見栄えがよく、本塁打、二塁打の数といった"量"という面では大谷を上回っています。ただ、"率"では大谷が上です。OPS、長打率、出塁率といった現代の指標となるスタッツでは、大谷がアンドゥハーを遥かに上回っています」
――ただ、アンドゥハーはプレーオフに出場するチームで149試合に出場しました。一方、大谷は打者として104戦、投手として10戦。どれだけ活躍しても、出場試合数が少ないことはマイナスと捉えられないでしょうか?
「それでも大谷が最終的に残した数字は、シーズンを通じて出場した選手に近いものがあります。ホームラン数はアンドゥハーより5本少ないだけ。打数はアンドゥハーのほうが239も多いのに、大谷はアンドゥハーの25四球より多い37四球を選んだことも特筆されるべきです。
それに10試合の先発登板が加わるため、残したインパクトは比較になりません。確かに安打数などではアンドゥハーが上ですが、彼の守備防御点は「-25」でディフェンス面のマイナスも大きい。アンドゥハーが毎日、サードで出場することはチームにマイナスをもたらします。彼の打撃による"ポジティブ"な面が守備の"ネガティブ"を上回ったのは事実ですが、"ポジティブ"が目減りした印象は拭えない。結果として、大谷がチームもたらした"ポジティブ"には及ばないと私は考えます」
――大谷の価値を示すスタッツがあれば紹介してください。
「打者が打席あたりに生み出した得点の傑出度(得点力の大きさ)を示すwRC+(Weighted Runs Created Plus)というスタッツがあります。100が平均的な打者で、大谷は152を記録しました。つまりメジャーリーグの平均を50%以上も上回るほどの打者だということです。一方のアンドゥハーは128。アンドゥハーも平均よりかなり上ですが、この数字は大谷がいかに傑出しているかを示していると言えます。
――他にもそういったスタッツはありますか?
「1打席あたりどれだけチームの得点増加に貢献したかを示すwOBAでは、大谷が.390、アンドゥハーが.361。リーグ平均からのOPSの傑出度を測るOPS+では大谷が152、アンドゥハーが126。そしてFanGraphsが算出するWAR(そのポジションの代替可能選手に比べてどれだけ勝利数を上積みしたか)でも、大谷が3.8、アンドゥハーは2.7となっています。
このようにスタッツだけでも上質なのに、大谷は過去の100年以上のメジャーで不可能とされることをやったのだから、もう文句はありません。ベストルーキーであり、もっとも記憶に残る選手でもありました。2018年は大谷がメジャーに来て、投打の両方に挑み、人々の考え方を変えた年として記憶されていくでしょう」
【アドラー記者が言及した数字】
SLG(長打率)大谷.564、 アンドゥハー .527
OBP(出塁率)大谷 .361, アンドゥハー .328
OPS(長打率+出塁率) 大谷 .925、アンドゥハー .855
wOBA:大谷 .390、アンドゥハー .361
OPS+:大谷 152、アンドゥハー 126
WAR:大谷 3.8、アンドゥハー 2.7 (FanGraphs WAR)
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