最底辺よりも下。「プロ野球難民」が集うペコス・リーグって何だ? (3ページ目)

  • 阿佐智●文・写真 text&photo by Asa Satoshi

 また、試合興そのものよりも、シーズン前のトライアウト・リーグの参加に据えた新ビジネスモデルが、このリーグの経営を支えている。

 ペコス・リーグの開幕は6月と遅い。4月にメジャーリーグが開幕すると、ロースター落ちした選手たちはその年のプレー先を確保すべく、順次独立リーグに身を投じていく。開幕の早いリーグほどプレーレベルも選手のギャラも高い。要するにペスコ・リーグは行き場を失った"野球難民"を集めてリーグ戦を行なっているのだ。

 シーズン前に開催される有料の"トライアウト・リーグ"には、とにかくプロという名のつくところでプレーしたいという若者が殺到し、参加料だけでも相当の金額になる。

 果たして、このペコスリーグで行なわれている野球とはどんなものなのか。テキサス州北西端のエルパソから車を走らせた。

 アルパインと聞いて、その地がどこにあるのかアメリカ人でもなかなか言い当てることはできないだろう。テキサス州西部、メキシコとの国境にある国立公園の玄関口にあたる小さな町だ。エルパソから車を飛ばしたものの、途中でゲリラ豪雨に遭ったこともあり、球場に到着したときには、ちょうど試合が終わったところだった。ナイトゲームの予定がデーゲームのダブルヘッダーに変わったこともあったが、ロングドライブは徒労に終わった。

 それでも、この田舎町の素晴らしい球場を目にすることができただけでも、よしとせねばならない。いまだ木製の観客席を使っているこの球場は、アメリカの野球ファンの間でも「ぜひ行っておきたいボールパークのひとつ」として知られている。

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